第4-1話 ページ7
MERが出動する現場はいつも状況が悪く、命のギリギリの戦いが繰り広げられる。
それは患者も、救急隊員も、消防も、警察も、そして俺達MERの面々もだ。
危険のど真ん中に真っ先に駆け出して行くのはいつも喜多見チーフで、その背中は大きく逞しく、そして俺の指針でもある。勿論、無鉄砲に飛び込んで行くわけではなくて自分がいなくても立ち回れるようにきっちり指示を出していくんだけど。
そして、喜多見チーフがいない場をまとめるのはなんだかんだ言っても音羽先生だ。言葉少なながらも、その存在はとても大きい。現場で患者と相対しているときは官僚ではなく、間違いなく医師だ。
とは言っても喜多見チーフと音羽先生におんぶに抱っこするわけにはいかないから、各々自分の意思で考えで動いて命を救う最善を選択していく。
「オイ！いつになったら病院に行けるんだ！」
なのに、いるんだよね。こういう自分勝手な人。
さっきからギャーギャー喚いて、絡んで来るんだけど、それをするのは比奈先生やミンさんに対してで相手を見て絡んでるのは明白だ。
いっそ噛み付くなら誰彼構わずやればいいものの、音羽先生や夏梅さんには絡まない辺り根性なしも良いとこだ。
その2人も気付いてはいるようだけど、処置中で動けない状況。
喜多見チーフなら上手くやってくれそうだけど、生憎消防と対策会議中だ。
「失礼します。医師の向坂です。こちらで怪我の状況を判断し、搬送する順番を決めていますので」
この男性のトリアージタグは緑。再度の診察をしても悪化の兆候は無し。
「比奈先生、ミンさん。ここは俺が」
明らかにホッとした様子の2人をこの場から逃したはいいものの、俺が来たことで怯んだのは一瞬で、強く出て良い相手だと判断したようで鼻で笑って見せた。
「オイ、俺をあの救急車に乗せろ」
「それは出来ません。緊急治療の必要性がある方から順番に搬送しています」
「俺は緊急性がないってか！？」
「少なくともこの中ではそうです」
怒鳴れば従うと思ったら大間違いだっての。
「金なら払うから先にしろ！痛くてしょうがねえ！」
「無理です」
「俺は県議員やっててお前達の上の役人にも顔が利くんだぞ？お前等みたいな下っ端なんか俺の一声でクビにしてやれるんだからな？」
「だったら何です？」
無意識に声に温度が乗らなかったものの、舌打ちしなかった事を褒めて欲しい。
男は最後の切り札を出した気でいたようだけど、そんなものがこの場において何になる。
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はる(プロフ) - このお話大好きなのですが、もう更新されませんよね‥もっと読みたかったです (6月15日 22時) (
レス) @page29 id: 6c02acd669 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - かりんさん» 感想ありがとうございます！キュンキュンしていただけたらなんて嬉しい限りです！主人公も好きとのお言葉感謝感激です！ (2021年8月25日 12時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - はじめまして!いつもこの作品楽しく見させていだいてます。音羽先生と喜多見チーフがかっこよくてキュンキュンしながら、見てます（笑） 男主くんのキャラ大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(*^_^*) (2021年8月23日 5時) (レス) id: b0e233bdb7 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - mikanさん» いえいえ、コメントありがとうございます。 (2021年8月16日 8時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - 澪響さん» ありがとうございます！これからも読んでいただけるように頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウサダ x他1人 | 作成日時：2021年7月20日 11時
