第7-2話 ページ18
ことの始まりは所用で他科へ行ったMERへの戻り道に、車椅子に乗った入院患者らしき女性に、喜多見チーフの家での食事会の時に知り合った喜多見チーフの妹さんである涼香さんが心配そうに声を掛けているところを見つけたところから。
その患者さん、産科の入院患者さんである立花彩乃さんの様子と軽く触診させて貰って感じたお腹の張りからすぐに病棟へ戻るべきだと判断し、涼香さんに車椅子をお任せして産科へ連絡を取りながらエレベーターホールへ向かったは良いものの、やって来たエレベーターには今世間でも院内でも色々と話題の天沼幹事長が乗っていたと来たもんだ。そしてその傍には音羽先生が。
音羽先生の微妙な変化で感じる気まずそうな様子にこれは相乗りしない方が良いのだろうと思いながらも、立花さんの状態から一刻も早く主治医へ診せたいという葛藤をしている間に、乗ろうとする涼香さんと断る音羽先生、そして負けじと乗り込む涼香さんと閉まるボタンで車椅子を挟んでしまう音羽先生という2人の間に剣呑な雰囲気を生み出してしまい頭を抱えたい気分になった。
しかし、なおも乗り込む涼香さんにここで俺が乗らない訳にはいかずにせめてもと2人の間のスペースに乗り込んだ。
気まずい…。物凄い気まずい。ただでさえ苦手なエレベーターなのにこのギスギスした空気が尚更耐え切れず、早く着いてくれと点灯していく階数を示すランプを睨み付けていたその時だった。
ガクン、と大きく揺れたエレベーター。予想だにしていなかった動きのせいで踏ん張り切れずに膝をつく。
状況を把握するより先に車椅子から転倒してしまった立花さんに血の気が引いた。
「立花さん、大丈夫ですか？！」
「は、はい…」
「向坂先生、どうしたんでしょう…」
「故障でしょうか…。涼香さんはお怪我はありませんか？」
「私は大丈夫です」
せめて良かったと安堵している向こうで、頭をぶつけたらしい天沼幹事長にせっつかれて音羽先生が非常ボタンで管理室に止まった旨を伝えてくれている。
すぐに動き出すことを期待して、今優先するのは立花さんだ。
産科は専門外だけど、知識はある。
大丈夫、大丈夫。
今は目の前の患者さんに意識を集中させろ。
息苦しさも嘔吐感も全て意識の外へ追い払え。
大丈夫。きっと大丈夫。
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はる(プロフ) - このお話大好きなのですが、もう更新されませんよね‥もっと読みたかったです (6月15日 22時) (
レス) @page29 id: 6c02acd669 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - かりんさん» 感想ありがとうございます！キュンキュンしていただけたらなんて嬉しい限りです！主人公も好きとのお言葉感謝感激です！ (2021年8月25日 12時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - はじめまして!いつもこの作品楽しく見させていだいてます。音羽先生と喜多見チーフがかっこよくてキュンキュンしながら、見てます（笑） 男主くんのキャラ大好きです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(*^_^*) (2021年8月23日 5時) (レス) id: b0e233bdb7 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - mikanさん» いえいえ、コメントありがとうございます。 (2021年8月16日 8時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
ウサダ - 澪響さん» ありがとうございます！これからも読んでいただけるように頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: cb9932fe74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウサダ x他1人 | 作成日時：2021年7月20日 11時
