チョー偉いお稲荷さん、柱やってたら悪女に出会う弐 (ページ6)

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御狐さん肆拾壱　欠片（しのぶside多め、最初はアマテラスside）ページ6

「無い…」

一体何処にある？

「見つからない…」

まさか壊れて？

「最悪だ…」

いや考えてはいけない

依り代が壊れれば

日本は凍る

雪の神の力は凄まじい

その為元来雪の神に任命するのは

最上位神が信頼する者のみ

簡単に感情や思い込みに流されるような者はなれない

アワユキは少し感情が戻っていた

それにもかかわらず雪の神として人々を加護し続けた

アヤツは人一倍我慢強い

だか我慢の限界が分かっていない

ずっと独りで抱え込む

一度我慢すれば壊れる寸前まで独りで抱え込む

そのせいで何度壊れかけたか分からない

アヤツは

アイツは

アワユキは―――…

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胡蝶の屋敷――――――

きらきらと

蝋燭の火に照らされる面の欠片は白く儚く煌めく

月光に照らされる雪のように

胡蝶しのぶは分からなかった

佳谷沙耶と泡石Aどちらが裏切り者なのか

自分のしたことは本当に正しかったのか

雪柱は何処にいるのか

「分かりません…」

生きているのか

死んでいるのか

何も分からない

「姉さん…私は…私は…？何をしたかったの？」

「分からない…Aさんは、Aさんは…」

「本当に？本当に…沙耶さんを刺したのでしょうか？」

「どうして？Aさんは、人を妬んで刺すような人ではないはずです」

毎夜毎夜胡蝶しのぶは何かに操られるように破片を眺めていた

見るたびに後悔と悲しみが押し寄せる

己の愚かさと不甲斐なさ

信じていたはずだった友人を

最後まで信じられなかった後悔

様々な負の感情が混ざり

自然と涙が出てくる

出会う成り殺気を突き付ける新人

彼女達がきてから

何かが変わった

分からない

後悔にまみれた蝶は今夜も涙と共に眠りについた