御狐さん陸拾玖 天才 ページ40
その後の受験者は、前半と大して変わらず全員一分と経たず失格となった
残るはAのみ
「アイツ氷属性しか使えないんだろ?」「勝ち目ねえじゃん」
そんな呟きが聞こえてくる
「お?最後はAか…うーん…勝ち目がないなぁ…」
どうやら周りの失格者達はその言葉の意味を取り違えたようだ
「そうだそうだ!お前なんかが合格できるわけねえ!やめちまえ!」
「ちょっとwそんなこと言わないのwwどうせ筆記の時点で落ちてるんだからw」
小さかった呟きはある男の見習いの大声を皮切りにだんだんと、集団で心を抉る野次へと変わっていた
Aは俯いているため表情は伺えないが肩を震わせて泣くのをこらえている
少なくとも柱にはそう見えた
自分達の姿がA達には見えていないと分かった柱はいつ何時もAを見守っていた
試練の事も忘れて
その結果見てしまった
昼
他の見習い達にどんな嫌がらせを受けても気にする様子もなく振舞っていたAだが
毎晩泣いていた
恐らく里でも虐げられていた経験から反応するとエスカレートすると分かっていたのだろう
しかし、心には限界がある
Aの心の堤防が決壊しかけた時
「は?何言ってんの?他の妖のことを使える妖術の属性だけで判断すんな。しっかり芯を見ろ。A。あんなん気にすんな、試験始めるからな」
『…はい』
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「始めっ!」
合図が出る
と同時に人形の体を氷の刀が貫いた
「へえ。氷刀かぁ…形状から察するに二番組み上げだね。凄いじゃん!」
『ありがとうございます。』
『氷術 凍て風』
生み出されたのは今までで一番透き通った氷
水分以外の全てを取り去った氷
人形はそれを全て回避する
が
突如として人形の首が跳ねた
かと思えば一瞬のうちに体も細切れにされた
「はっ!?あり得ない!今の氷刀!?見えなかった…?否、そんな筈ない…でも…」
雪神が一人狼狽する
暫くして、我に返った雪神ははっとして言った
「…合格だ。A。文句なし。これほどまでとは思ってなかったよ」
『ありがとうございます』
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そうして、実技試験が終了し、昇神試験は終了した
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御狐さん漆拾 偽物(アマテラスside)→←御狐さん陸拾捌 実技最初の合格者
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キノコズ(プロフ) - Sayaさん» 何という奇跡…!同名で読んでみるのも面白いかもですね! (2021年7月24日 13時) (レス) id: 35a7a6037b (このIDを非表示/違反報告)
Saya - 私、(名前)って所に、「沙耶」ってセットしてるんですよ。そしたら、沙耶が二人いる...(笑) (2021年7月20日 1時) (レス) id: 0baa0f9de6 (このIDを非表示/違反報告)
キノコズ/創作・研究同好会(プロフ) - ちゃんぽんさん» 有難うございます! (2020年10月11日 13時) (レス) id: 35a7a6037b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんぽん(プロフ) - このお話大好きです!!いつも楽しみにしてます〜♪ (2020年10月11日 12時) (レス) id: a0fd83f549 (このIDを非表示/違反報告)
キノコズ/創作・研究同好会(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 不幸です…(´;ω;`) (2020年10月11日 10時) (レス) id: 35a7a6037b (このIDを非表示/違反報告)
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