チョー偉いお稲荷さん、柱やってたら悪女に出会う弐 (ページ31)

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御狐さん陸拾壱　新.上弦の零ページ31

夢の外ー陽陰寺

バゴォ！

針生が壁を突き抜けて回廊から落下する

「ちィッ…！」

針生の舌打ちの音と共に間合いを詰めたのは六つ目の鬼

上弦の壱黒死牟

「気味の悪い鬼じゃのォ…」

「お前も大概だ…化け狸」

柱が眠っている周りには煙の結界が張られている

薄色の藤の結界

「天照直々に頼まれた試練でのォ…手出しさせるわけにはいかんのじゃよ」

振られた刀を煙管で受け流す

針生は怒りと悲しみで気が狂いそうだった

その原因は周りの死体

回廊の上にも下にも数えきれない程の狸の死体があった

黒死牟が針生と柱がいる最深部にたどり着くまでに殺した狸達だ

生まれてからずっと共に過ごしてきた家族

とはいっても日輪刀を持たず、呼吸も使えない針生と化け狸達では黒死牟を倒すことは出来ない

「(切っても斬っても再生される…どうしたものか…)」

妖力の消費と気の乱れで針生の幻術も崩れかけていた

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とある林(アマテラスside)

おかしい

陽気の追跡でここまで秋柱を追ってきたが

気配が消えた

どうなっている？

「ツクヨミ！彩月(ツクヨミの式神)はどうじゃ

「反応がない。というか、人の気配自体無い」

「夜はお主の支配時間じゃ、儂の力も陽気の行動も制限される。早いところ見つけてくれ」

「分かった」

ツクヨミの周りを回っていた満月型の彩月が弾ける

宇宙の星々の様になったソレは林の中を音速で駆け巡る

「いた。えぇと…！アマテラス！後ろにいる！横に飛んで！」

「！」

ピュッ

儂の腹があった辺りを紅い日輪刀が斬った

「全く…お主はもう救えぬようじゃな…」

「救いなんていらないわ！私が一番偉くて、一番可愛いのよ！アンタなんか敵じゃないわ！！」

攻撃を仕掛けたのは秋柱ー

いや

瞳に上弦の零と刻んだ鬼だった

「何故そこまでする？」

「気に入らないから。私がなんでも一番で、私が一番可愛いのに、私の嫌いなアンタ達が生きてるのが気に喰わない。(あーウザい。早く死んでくれないかなー。ほんっと、宮原とかチビのくせに、何頸斬っちゃってんのよ。憎い憎い憎い憎い憎い)」

…哀れな奴じゃ

「お主が儂をどう思っていようと関係ない。鬼となって人を殺めるならば殺すまで」

「(え、私空気？)」

蚊帳の外にされたことに若干のショックを受けるツクヨミをおいて、鬼と神の戦いの火蓋が切られた