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そこまで考えて、いつかの紗枝の言葉を思い出した。
『彼女持ちの受けにある日攻めが「やっぱり俺、受けのことが好きだ。今彼女が居る事も、男が好きじゃないことも知ってる。でも、だからこそ今伝えておきたい。俺はお前のことが好きだ!」って告白してからの、受けが悲しいような嬉しい様な顔で「馬ぁ鹿、後もう少しでお前のこと諦めようとしてたんだぞ」って言うエンドが今来てる』
あの時は正直また始まったと呆れていたが、もしかすると若しかするかもしれない。可能性は無きにしも有らずだ。
私はぶんぶんとさっきまでの邪念を振りほどいて、お母さんの心配する声を背に家を飛び出した。大急ぎで飛び出したせいか湿ったままの制服は乱れに乱れ(私がスーパーモデル体型なら男子共が欲_するような格好)髪はぼさぼさ、靴紐も何度解けたか分からない。
大きく息を吸ってから、ゆっくり息を吐く。
「真逆ね」
態と声に出して言った。思いのほか響いた甲高い声は一点の曇りもない青空に吸い込まれて、白い雲は僅かな風によって背を押されていた。足音を軽快に鳴らし、通い慣れたアスファルトの道を進んでいく。
ふと、かさかさと鳴る木の葉の隙間から誰かの陰が見えた。
男子高生、私と同じ高校だ。
「ちょ、止めろよお前。それ以上近づいたら打つからな」
「えー、それはやり過ぎじゃない?」
楽しそうに喋るその声に私は聞き覚えがあった。
犬神君と猫柳君? 真逆こんな朝早くから二人に会えるなんて! 早起きして良かったー。
先程までの不気味な感情は何処へ旅行しに行ったのか__多分イタリアかグアム、若しくはペルーかな__色取り取りの音符をそこらに喚き散らし茂みの中から顔を上げようとして、ピタリと止めた。
そこには眉間に皺を寄せながらも嬉しそうに犬神君を拒む猫柳君と、それに反抗しつつ頬を染めた犬神君が居た。黄色のベンチに座ってイチャつきあっていた。恋だとか、愛だとか、付き合うなんてことも分からない私でも分かった。
二人は、付き合っているんだ。
昨日の雨で湿った紅葉色のカーペットに放り出された黒いリュックサックが、まるで二人の仲の良さを表すようにくっついていた。
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秋葉まこ - ニャンコ先生@生チョコ族さん» 詳しく教えていただきありがとうございます!! (2017年10月13日 17時) (レス) id: b83ad12f14 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコ先生@生チョコ族(プロフ) - 秋葉まこさん» おお! 有り難う御座います! 軽ーく腐女子度検定も混ぜてみました。ヒントは二話の最後ら辺と紗枝の台詞です。暇な時是非(( (2017年10月13日 7時) (レス) id: 94827244c2 (このIDを非表示/違反報告)
秋葉まこ - うおおおおおッ!読みに来ました!!うわあああああ!これ絶対面白い小説が誕生しました!!早くも続きが気になりますが更新は自分のペースでやっていってください!!ワクワク! (2017年10月12日 22時) (レス) id: 0faa99912c (このIDを非表示/違反報告)
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