フラグは何処へ ページ7
＊
「ん、フガッ」
小五月蝿い目覚まし時計の音で目を覚ました。時刻は午前五時半をちょっとすぎた辺り。しょぼしょぼした目に目薬をさして強制的に目を覚ます。久し振りに六時より前に起きた頭は未だ現実と空想の狭間を彷徨っているようで、タンタンと調子のいいリズムを刻みながら私は一階へ降りた。
そこにはベージュのエプロンを着た近所で美魔女と呼ばれているお母さんが、上機嫌にご飯を炊いていた。少し狂った鼻歌からは、お母さんとお父さんの思い出の曲だと言う「ロマンス」が流れている。
「おはよー……」
「おはよう亜胡。どうしての？ こんな時間なんかに起きたりして」
「分かんない。気付けば起きてたんだよね」
そう言って私は椅子に座った。それと同時に目の前には炊き立てのご飯とわかめの味噌汁、それと昨晩のおかずの残りであるコロッケが置かれた。
もそもそと兎の様に食べながら、頭の中では昨日の出来事が映像として私の眼前に映し出されていた。休み時間に私に話しかけてくれた犬神君、授業中分からない英単語の読み方を恐ろしいぐらいのネイティブ発音で教えてくれた猫柳君、体育の授業で二人で力を合わせ敵チームに勝ったこと、掃除中にコソコソ二人で話していたこと、下校中に犬神君が猫柳君のおでこにキスをしていたこと……キスをしていたこと！
「ぶっへぇ！」
「ちょ、亜胡何やってんのー。早く吹きなさい」
「わ、分かってるよお母さん。雑巾ある？」
「あるわよ、はいこれ」と言ってお母さんから雑巾を貰い、制服とテーブルを拭く。その間、私の頭の中には普通の友情ではありえない事実が渦を巻いていた。
唯の友達のおでこに男子高校生が下校中キスをする？ 普通。有りえない、絶対にありえない。私のお兄ちゃんだってそんなことはしないし、寧ろ引くと言っていた。あれなの？ 紗枝が言っていたＢＬというものなの？ え、え。じゃあ……。
「犬神君と猫柳君は、ホ＿＿？」
いやいやいや、と自ら導き出した答えを消す。
あの二人に限ってそれはない。あるわけがない！ だ、第一、犬神君は兎も角猫柳君は一度彼女が居たっぽいし。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
秋葉まこ - ニャンコ先生＠生チョコ族さん» 詳しく教えていただきありがとうございます！！ (2017年10月13日 17時) (
レス) id: b83ad12f14 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコ先生＠生チョコ族(プロフ) - 秋葉まこさん» おお！ 有り難う御座います！ 軽ーく腐女子度検定も混ぜてみました。ヒントは二話の最後ら辺と紗枝の台詞です。暇な時是非(( (2017年10月13日 7時) (レス) id: 94827244c2 (このIDを非表示/違反報告)
秋葉まこ - うおおおおおッ！読みに来ました！！うわあああああ！これ絶対面白い小説が誕生しました！！早くも続きが気になりますが更新は自分のペースでやっていってください！！ﾜｸﾜｸ！ (2017年10月12日 22時) (レス) id: 0faa99912c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
