百二十八粒 ページ42
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コトッ
彼の前に紅茶を出して私も向かい合うようにして座った。
「ありがとう」
「いえいえ…」
私が伏せ目がちにそう言うと、彼の質問が始まった。
「まずさ、本当にるぅとくんって気づかなかったの?
俺の時は気づいてたでしょ?」
ストンとストレートな言葉で彼は聞いてきた。
「…多分、気づいてました」
さっきは「るぅとくんだったか…」だなんて言った私だが、それは私の望み要素が含まれていただけで。
きっと、気づいていた。
そして、この私の曖昧な返事に彼は「だよね」とこれまたストレートな口調で返してきた。
「んー、まずるぅとくんとはどんな関係だったの?」
関係、か。
特にこれといって良い表現がわからなかった。
「最初は電車で見かけるぐらいで、それからカフェに来てくれるようになって」
「カフェ?」
「あ、私のバイト先で、偶然来てくれて」
至って普通に答えたつもりだったが彼は「偶然ねぇ…」と呟いた。
「あ、いやね、これはどっちもどっちな匂いがするなぁって」
ごめん続けて、と言う彼に頷いてまた話し出す。
「その、それからまた図書館で会って、一緒に勉強しようかって」
「んーーーー、ごめんどうしてそうなった?」
おいおいと眉を下げて静止に入る彼。
確かにこんな状況に至ったのは私も驚いたから。
「えっとですね、確か「知ってる人がいる方が集中できる」って…」
そしてそんな私の答えに、まじかよ…とでも言いそうな顔を彼はした。
「…うん、そっか。
それでいつから気づいてた?」
そしてこの質問。
実際は、それっぽいっとしか感じなかったのだが。
「多分、カフェの時、初めて声を聞いて。
あれ?とは…」
多分、最初にそう思ったのはその時だと思う。
「それで音楽関係の専門学校行ってて、気づかなかった?」
そして彼のこの言葉。
先程は多分を使って言葉を濁していたが、もうこれで否定する人はいないと思う。
「…わかってました」
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ゆぅる - しゅうくさんは読者をキュンキュンさせる天才ですか?? (2021年12月6日 22時) (レス) @page11 id: b4dee99bf3 (このIDを非表示/違反報告)
しゅうく(プロフ) - ゆあもんさん» ゆあもんさん…!!神ではないですよ!?でも頑張りますね!ありがとうございます!! (2020年5月17日 11時) (レス) id: 547af1fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあもん - しゅうくさん神ですか?私毎回読ませていただいてます!もうねこの作品は神です!これからも応援するので頑張ってください! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 9253ce94df (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - しゅうくさん» 全然です!!ご自分のペースで更新されてください!いつまでも待ってます! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 3de2eab1b1 (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - しゅうくさん» 応援してます!(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 5ba2df906e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅうく | 作成日時:2020年3月17日 23時