真夜中サプライズ 04 ページ9
「……俺ら帰ってきたとき、もうそれ着てた?」
頼むから違うって言うてくれ。
「え? うん、着てたよ? 寝るとこだったし」
数秒で希望は打ち砕かれた。
ホンマにアカンやつやん……。
濱には酒を奢って、釘を刺すしかない。
項垂れつつ、Aの肩に頭をもたれる。
「せっかく早く帰って来てくれたのに、ごめんな」
「あー、それはいいよ。録画してた和牛いっぱい見れたし。それより飲み行くのは全然いいんだけど、あんまり遅いと事故とか心配になるよ?」
「ほんますんません……」
「まあ、私も何も考えないで玄関出ちゃったから、そういうのは注意しないとだけどね」
そうは言っても、そんな鉢合わせ方するなんて、普通は想像できんよな。
「Aは悪ないで、全部俺のせいや」
「うん、まあ、今回はそうだね」
そんなことないよって言うてくれると思ったのに、今日は厳しい。
俯くと、ショートパンツから伸びる足が視界に入る。
「見せたく、なかってん……」
「ん?」
「Aがこれ着てるとこ」
ふふっ、と笑われる。
「自業自得ですー」
「ホンマに、襲われんでよかった」
「大袈裟ー。だいたい濱家さん既婚者でしょ?」
「そういう意味では、送ってくれたんが濱でよかったな」
「濱家さん、内緒にしてくれるって言ってたよ。いい人だね」
「騙されたアカンで。見た目ええ奴ほどまともじゃないんやから」
「……賢志郎、そのタイプだと思うけど……」
そうでした。ずっとそう言われてましたすいません。
「あーあ」
大きめにため息をついた。
「とりあえず、お風呂入ってきたら? コーヒー淹れとくよ」
「せやな……」
体を起こして、ふと思いついて言ってみる。
「Aも入らへん?」
「えっ……」
一瞬でAが真っ赤になる。
「朝っぱらから何想像してんねん」
「べ、別に何も……!」
「よっしゃ、今考えたこと全部したるわ」
「やだ、違う、そんなこと考えてない!」
「はいはい」
まだ何か言おうとしたAをキスで黙らせて、風呂場に連行した。
濱は、本当に誰にも言わずにいてくれた。
ただ、飲みに行ったら「彼女にえぐい部屋着着せてる」て散々いじってきた。
二度と、お前の世話にはならんからな。
fin.
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理架(プロフ) - ハンナさん» いつもありがとうございます!甘いだけで終わらない、白を着ながらいつもどこかちょっと黒い、みたいなイメージで書いてます(笑)これからもわーってなってもらえるようなお話を書いていけるよう頑張ります(^ ^) (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» ありがとうございます!白シャツの話は書かねば、と思っていたので第一弾のトリに持ってきました。第二弾もよろしくお願いしまーす! (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ひゃー素晴らしい…甘いようで賢志郎さんらしいし…いつもうわー…って読ませていただいています (2020年6月19日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - 読みました。今回もキュンキュンしました。川西さんといえばまぁ白シャツですよね。あ、後続編おめでとうございます。むっちゃ嬉しいです。第2弾も読ませ頂きます。愛読します。 (2020年6月19日 17時) (レス) id: cc9c552fc9 (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» 早速読んでいただいて、ありがとうございます!最近の番組事情を少しだけ反映してみました。cookpadliveはどうしても本調子でないように見えて、思わずこちらに使ってしまいました。切なさを感じていただけてよかったです。ありがとうございました! (2020年6月17日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理架 | 作成日時:2020年6月2日 16時