riverside days

白シャツ至上主義 02 ページ49

　
　
　
　それから、風呂でAを堪能して。

　いい加減のぼせそうになって、二人してベッドに倒れ込んだ。

　続きしよか、って言うてたけど、今すぐは無理や。

　それはAも同じで、えらいぐったりしてる。

「賢志郎、なんか服貸して。冷える……」

「ちょっと待って」

　クローゼットを開ける。

「……白ばっかり……」

「まだ言う？ それ」

「じゃあ白いのでいいや。一番さらさらのやつ」

　なるべく肌触りのいい一枚を選んで渡す。

　起き上がって、Aはそれを着る。

　その姿に思わず感想がこぼれた。

「裸にシャツだけってのもええよなあ……」

「賢志郎のそういう、ぐっとくるポイントって、なんていうか、昭和だよね」

「そんなんに昭和も平成もないやろ」

「えー、なんか、最近ぽくない」

　Aの感覚こそようわからんわ。

　最近ぽいポイントって、何やねん。

「そんなこと言うんやったら、脱がすで？」

「だめ。これ着心地いいから着てたい……」

　そのまま横になると、欠伸をして目をこする。

「……眠い……」

「……続きは？」

「お風呂でいっぱいしたじゃん……」

「それとこれとは別やろ」

「べつじゃない、やることやったから、もういいでしょ……」

「そんな作業みたいに言わんといて」

「ふふ、ごめん」

　ああ、もう寝てまうやん。

　俺のこの微妙な状態は、どうしたらええねん。

「……このまましてもええ？」

「無理、眠い」

「うん、Aは寝ててええから」

「ん？ えーと……？」

　眠い頭で必死に考えてる。

「寝てる間に勝手にする、ってこと……？」

「そう。俺このまま寝られへんから」

「うわー……なにそれ……」

　閉じかけていた目が開く。

「いくらなんでもそれは、引く……」

「でも目覚めたやろ？」

「あ、はめられた！ 意地悪！」

「よっしゃ元気やな？ ほないこかー？」

「急にお祭りみたい」

「このテンションで続けていい？」

「絶対笑っちゃうから、普通にして」

「もう笑てるやん」

　笑いながらキスをして、抱きしめる。
　
「それ似合うから、A専用にしとこか？」

「え、いいの？」

　嬉しそうに笑うけど、これは優しさじゃない。

　ただの独占欲。

　そんなちょっとだけ黒い感情も、その白さに隠される。

　ほんま、白って便利な色なんやで。
　
　
　
fin.
　
　
　
　

（作者より）→←白シャツ至上主義 01

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す