riverside days

hard lock heart 03 ページ47

(side : 賢志郎)
　
　
　
　
　今どっちか死んだら、最後の会話が喧嘩になるんやなあ。

　成仏できへんやろな、そんなん。

　大阪から帰る新幹線で、ぼんやりそんなことを考えた。

　4日も大阪におったけど、Aからは何にも連絡はなかった。

　いつも、大阪に行ってる間、一回くらいはLINEくれるのに。

　……あれ、そういえば俺、大阪行くって言うてない。

　黙って何日も帰ってないことになる。

　心配とか、してくれてんのかな。

　1回くらい、連絡しとこか。

　いや、でも、もうAは連絡待ってないかも。

　打ちかけたメッセージを消す。

　こんなに会わなくても連絡もしなくても、Aが平気なんやったら。

　俺もう、いらんやん。
　
　
　
　
(side : A)
　
　
　
　
　今どっちか死んだら、最後の会話が喧嘩になるんだなあ。

　成仏できないだろうな、そんなの。

　帰りの電車で、ぼんやりそんなことを考えた。

　もう何日も、連絡は来てない。

　連絡来ないどころか、帰ってきてもないし。

　急に予定が変わったり、遅くなるときは、LINEくれてたのに。

　さすがにちょっと、心配はしてる。

　1回くらい、連絡しとこうかな。

　いや、でも、もう賢志郎は連絡待ってないかも。

　打ちかけたメッセージを消す。

　こんなに会わなくても連絡もしなくても、賢志郎が平気なんだったら。

　私もう、いらないってことだよね。
　
　
　
　
(side : both)
　
　
　
　
「「あ」」

　マンションの入口で、思わず声が出た。

　その人が、いたから。

　同じタイミングで帰ってくることなんて、今までなかった。

　巡り合わせなんて、信じてなかったけど。

　この人との間には、あるのかもしれない。

　正直、心の準備はできてない。

　でも今何も言わなかったら、また同じ日々を繰り返す。

「……おかえり」
「……ただいま」

　その声が聞けると、やっぱり嬉しい。

　もう、部屋の鍵をかけるのは、やめよう。
　
　
　
fin.
　
　
　
　
―――
ますみさんよりリクエストいただいた
「喧嘩しちゃう二人」でした。
余裕を持って生活してるからこそ喧嘩しない二人。
ちょっと余裕なくしたらこうなりますよね。多分。
ご期待に添えてるといいのですが、
いかがでしたでしょうか。
リクエストありがとうございました。

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