riverside days

ONLY SHOT 03 ページ38

　
　
　
「似合てるよ。でも」

　そこでスマホにあの写真を出して見せる。

「……こんなんなってんで、寝てるとき」

「え、これ私……えっ、なにこれ！？」

　顔を赤くして慌て出す。

「やだーもう……」

　膝を立てて、顔を埋める。

「な？ せやから、着替えて」

「……ていうか、何で撮ってんの……」

　顔を埋めたまま、低いトーンで言われた。

　撮ったことがうやむやになるかと思ったけど、そう上手いこといかへんか、やっぱり。

「いつ撮ったの？」

「昨日の朝」

「賢志郎が、めくったんじゃないの」

「そんな変態みたいなことせえへんわ」

「いや、その状態撮ってる時点でもう変態だから」

　ひどい言われ様やな、おい。

「……まさかと思うけど、その写真、誰かに見られてないよね？」

「見せへんて！ いよいよ変態やないか」

　俺が見てたとこを水田に見られたけどな。

　そこはごまかせたし、まあええやろ。

「じゃあ、大阪にいる間、一回も見なかった？」

　まあええことなかった。

「……み、見てないよ」

「嘘！ ぜーったい嘘！ 今の言い方は嘘！」

　あかん、Aはごまかされてくれへん。

「……一回だけ……」

「いつ！？ どこで！？」

「さっき、帰りの新幹線で……」

「まさか水田さんも！？」

「見てない。それは、絶対ない」

　そこだけは誠意を込めて言うと、はあ、とため息をつかれた。

「……今度、賢志郎の寝てるとこ、撮るから。絶対」

「えー……」

「えーじゃない！ 先に撮ったのそっちなんだから！」

「撮ってどうするん？」

「どうもしない！ 悔しいから撮るだけ！」

「それは撮られ損やろ……」

「じゃあ賢志郎いないときに眺めてにやにやする」

「おまえも変態やん」

「人のこと言えないでしょ？」

「……もうええわ」

「あーそれずるい！」

　アホみたいな会話して、二人で笑う。

　その日は、ちゃんと着替えてきたAと、同じベッドで眠った。



　数日後、撮った写真を満足気に見せられた。

　その写真を常備するんか、と思ったら複雑な気分やったけど、あんまり嬉しそうで何も言われへんかった。

　まあ、せっかく撮ったんやから、大事にしといてな。

　そんな俺の写真撮れるの、Aだけやから。
　
　
　
fin.
　
　
　
　

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