お気に召すまま 02 ページ32
(side : 賢志郎)
ソファで寝るAを見て、もう30分は経つ。
帰ってきたらここで寝てて、起きるの待ってみたけど、全然やな。
「んふふ……もう……」
にしても、さっきからえらい楽しそうやんか。
どんな夢見てんねやろ。
「ふふっ……けんしろー……」
あ、俺おんの?
なんやよかったわ、そんな楽しんでもらえて。
……現実の俺は、今ちょっとだけ寂しいけどな。
「やだ、もう……ふふ……」
あんまり楽しそうで、起こされへん。
とりあえず、部屋に運んだろか。
なるべく優しく、その身体を抱き上げる。
……熱ない?
いつもより体温が高い気がする。
Aの部屋のベッドに寝かせると、とりあえず額をくっつける。
熱いような、そうでもないような。
自分の部屋から体温計を持ってきて、計ってみる。
37.6℃。微妙なとこやな。
これから上がるかもしれんから、とりあえずしっかり布団をかける。
熱出すなんて、珍しいな。
仕事、無理してるんちゃうかな。
今んとこ、夢見は悪くなさそうやけど。
動かしたせいか寝言は言わなくなったけど、顔はちょっとだけ笑てる。
一人にしたくなくて、しばらくそのまま部屋にいると、ふいに目を覚ました。
「ん……? 賢志郎……?」
「あ、起きた? 大丈夫?」
「うん、……あれ、そこにいたの?」
「ずっとおったよ」
「え、だって、今までベッドに」
「え?」
寝ぼけてんのか、Aは身体を起こして辺りを見回す。
「えー……あれ、賢志郎の部屋に、いなかったっけ」
「俺さっき帰ってきたんよ。そしたらAソファで寝ててん」
「……今までの、夢?」
「そうやと思うけど」
そう言うと、Aは真っ赤になる。
熱が急に上がった、わけじゃなさそうやな。
そんな反応されたら、ちょっとだけ追及したくなる。
懐柔してみようと、ベッドに座って肩を抱く。
……やっぱり、いつもより熱いな。
「どんな夢見てたん? えらい楽しそうやったで」
「……楽しく、なかった」
「ん?」
「賢志郎、すっごい意地悪だった」
「えー……」
思ってた答えと全然違った。
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理架(プロフ) - ハンナさん» いつもありがとうございます!甘いだけで終わらない、白を着ながらいつもどこかちょっと黒い、みたいなイメージで書いてます(笑)これからもわーってなってもらえるようなお話を書いていけるよう頑張ります(^ ^) (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» ありがとうございます!白シャツの話は書かねば、と思っていたので第一弾のトリに持ってきました。第二弾もよろしくお願いしまーす! (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ひゃー素晴らしい…甘いようで賢志郎さんらしいし…いつもうわー…って読ませていただいています (2020年6月19日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - 読みました。今回もキュンキュンしました。川西さんといえばまぁ白シャツですよね。あ、後続編おめでとうございます。むっちゃ嬉しいです。第2弾も読ませ頂きます。愛読します。 (2020年6月19日 17時) (レス) id: cc9c552fc9 (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» 早速読んでいただいて、ありがとうございます!最近の番組事情を少しだけ反映してみました。cookpadliveはどうしても本調子でないように見えて、思わずこちらに使ってしまいました。切なさを感じていただけてよかったです。ありがとうございました! (2020年6月17日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理架 | 作成日時:2020年6月2日 16時