天使の分け前 04 ページ30
「……賢ちゃん、納戸に別の焼酎あるから持ってきてくれへん?」
急にゆずるが、小声でそんなことを言ってくる。
「え? 何で?」
「ええから。玄関のすぐ横の部屋な」
何で今そんなことせなあかんねん。
そう思ったけど、ゆずるがどうしてもって言うから渋々立ち上がった。
言われた部屋に入ると、1畳くらいの人がやっと入れるスペースやった。
どこにあるんかな。
「……賢志郎?」
すぐに後ろからAの声がした。
「え、A?」
「河井さんが、賢志郎手伝ってって……」
そこでゆずるの意図を理解した。
Aを部屋に引き込んで、内側から鍵をかける。
「ちょっと、何、っ」
抱きしめて唇を塞いだ。
角度を変えて、何度も何度も咥内を攻め続ける。
「ちょっと、けん、しろ、、誰か来る、、」
「黙って」
言葉を遮ってまた口づける。
こんなとこで、とか、何してんやろ、って冷静な自分も一応いるけど。
でも離したくない、が圧倒的に勝って、止められへん。
抵抗しようと俺を押し留めてたAの腕から力が抜けていく。
熱くなっていく咥内が、欲を高める。
Aの膝から力が抜けて崩れ落ちそうになって、やっと唇を離した。しっかり腰を支える。
「なんで……こんなとこで……」
「……Aが、可愛いこと言うから」
「……」
「困るやん。ゆずるんちやで、ここ」
「……嬉しかった、の?」
「うん、むっちゃ嬉しかった」
Aは笑って、抱きついてきた。
「……帰ったら、続き、したい……」
「ほんなら今すぐ帰ろか」
「だめ。河井さんがデザートあるって言ってたから、それ食べるまで帰らない」
何やねんおい。
結局ゆずるなん?
「餌付けされてるやん」
「だってせっかく作ってくれたって言うから」
「……帰ったらどうなるか、覚悟しとき?」
一瞬Aの顔が怯んだ。
「優しく、してくれないの?」
「A次第やなー」
笑いながら、鍵を開ける。
リビングに戻ると、ゆずるがにやりと笑った。
ほんま、ええ奴やけど嫌な奴やな。
fin.
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理架(プロフ) - ハンナさん» いつもありがとうございます!甘いだけで終わらない、白を着ながらいつもどこかちょっと黒い、みたいなイメージで書いてます(笑)これからもわーってなってもらえるようなお話を書いていけるよう頑張ります(^ ^) (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» ありがとうございます!白シャツの話は書かねば、と思っていたので第一弾のトリに持ってきました。第二弾もよろしくお願いしまーす! (2020年6月19日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ひゃー素晴らしい…甘いようで賢志郎さんらしいし…いつもうわー…って読ませていただいています (2020年6月19日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - 読みました。今回もキュンキュンしました。川西さんといえばまぁ白シャツですよね。あ、後続編おめでとうございます。むっちゃ嬉しいです。第2弾も読ませ頂きます。愛読します。 (2020年6月19日 17時) (レス) id: cc9c552fc9 (このIDを非表示/違反報告)
理架(プロフ) - ますみさん» 早速読んでいただいて、ありがとうございます!最近の番組事情を少しだけ反映してみました。cookpadliveはどうしても本調子でないように見えて、思わずこちらに使ってしまいました。切なさを感じていただけてよかったです。ありがとうございました! (2020年6月17日 21時) (レス) id: c81664a4ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理架 | 作成日時:2020年6月2日 16時