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目が覚めた時にはもう、遠くの空が白み始めていた。
優太の姿は無い。
温もりすら残っていない。
放心したまましばらく眺めていたスマホも一向に鳴る気配は無く、ただ待ち受け画面に表示された時計の数字が、機械的に増えて行くだけだった。
長い年月を共にして来た私たちに、愛なんて無かった。
忘れられなかったのは、私の方だけだった。
結婚前の妙なテンションで、酔った勢いから変な風に思い出に浸った女を宥めるために
ただ仕方なく、一晩付き合っただけ。
ついそんな風に思ってしまうほどに、最中の彼の態度はつれなかった。
呆れられた。
バカな女だと
見境のない尻軽だと
そんな風に思われたかもしれない。
あの大きな手に触れられて、まさかこんな気持ちになるなんて
裏切り者にさえ見えたスマホを持ち上げ、勢いのままに見慣れた名前をタップする。
しばらくの呼び出し音のあと、すっかり耳に馴染んだ声が、少しの戸惑いと共に聞こえて来た。
櫻「……A？
………どした、こんな時間に。何かあったの？」
時刻は明け方。
月はすでに白く霞んで
私を罰するほどの力は、持ち合わせていないように見えた。
『…翔、私のこと好き？世界で1番愛してる？』
翔「……はぁ？
何だよそれ、寝ぼけてんの！？！？」
『……違うの……今……今、聞きたいの……』
翔「え〜〜〜…
…あ、もしかしてマリッジブルーってヤツ！？
ははっ、お前にしては意外だけど、ホントにあんだね〜。そして、こんな時差ボケみたいなタイミングで発動すんだぁー。知らなかったわ！」
きっと電話の向こうで眉を下げて笑っているのであろう翔は、いつもより少しだけ深く息を吸うと、甘い甘い声で囁いた。
「好きだよ。世界で1番。」
その声が誰のものか分からなくなってしまった私は、やはり酷い咎人なのだろう。
プツリと電話を切る。
そのまま優太のベッドの布団の中で、隠れるように丸くなった。
連れて来ないで。
汚れた自分を見たくないの。
後悔なんてしたくないの。
まだ夢から醒めたくない。
だから誰も�狡�″なんてものを
私のところへ、連れて来ないでよ。
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きのこ(プロフ) - pipi_kpさん» え〜マジですか！？すごい！まだ覚えててくださっただけでも嬉しいです🫰ありがとうございます！このぐらいの短編は珍しいですが、また書きたいな〜！ (2023年1月11日 0時) (
レス) id: 4ab1c623f5 (このIDを非表示/違反報告)
pipi_kp(プロフ) - きのこさんこんばんは。let goが久しぶりに読みたくなってこちらへ来ました。冬になると毎年このジンくんとしょうくんを思い出してます。何度読んでも好きです！ (2023年1月10日 21時) (レス) @page40 id: c4a2b088a0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» いえいえ、あちらでもゆるっとよろしくお願いしまーすヽ(´▽｀)/ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
キンシコウ - ありがとうございます！！マシュマロ、了解しました、わざわざありがとうございます。 (2020年7月24日 0時) (レス) id: 89ad9cb972 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» どぉぞ〜。鍵垢ですけど、無言での申請で大丈夫でーす！今、ツアーの件でマシュマロ荒れてますけど、気にしないで下さいww (2020年7月23日 23時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年7月1日 23時
