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そのまま縺れるように倒れ込んだのは、もう何年も主を失ったままだった、かつての優太の部屋だった。
あーだこーだと口を挟みながら、勉強する優太の横で腰掛けていたベッド。
古びたスプリングが派手に軋む。
私たち以外誰もいないにも関わらず、なぜかその音にヒヤヒヤした。
優太の抱き方は、とことん意地悪だった。
『…ッそれヤダっっ……ゆっくりしないでっ……』
まるで行きずりの女に対するような面白半分の振る舞いに、勝手に傷つく自分が滑稽だ。
「自分から誘ったくせに、ずいぶん可愛いこと言うじゃん。」
こんなの優太じゃない。
少なくとも私が知っている優太は、弱音を吐く女を揺さぶりながら、鼻で笑うような人間ではなかった。
悔しさから思わず噛みしめた唇に、渇いたキスが落とされる。
得意げな顔。
無性にこちらの神経を逆撫でする。
必死で、まだ茶髪に制服姿だったあの頃の優太を思い出そうと試みる。
今私に触れている大きな手は、あの時私を助けてくれた手と同じはずだ。
あの時は確かに、私のことが好きだと
そう言ってくれたはずなのに。
けれど、野球をやっていたあの頃よりも二回りほど逞しく鍛え上げられた白い肉体が、小さな考え事など吹き飛ばすように私のすべてを翻弄してくる。
優太は、私のことが嫌いになったの？
結婚を控えてこんなことする姉を軽蔑した？
いや
きっとそれなら、彼はそもそも私の誘いになんて乗らなかった。
そこまで考えて、やっと気づいた。
きっと、これは戒めなのだ。
義理の弟を誘うような愚かな姉に対する、弁護士センセーからの引導なのだ。
もう二度と「会いたい」なんて思わせないために
優太のことなんて、思い出したりしないように
翔と結婚して、ちゃんと幸せになれるように
そんな気持ちを込めた、優太なりの優しさなのだ。
涙を溢すまいと、震えながらそっと開いた瞳。
ふと視線を投げた窓の外には
風に流れる雲間から覗く、燃えるような満月。
…ーーー見られた。
なぜ咄嗟に、そんな風に思ったのか
得体の知れぬ恐怖心にゾワリと泡立った肌に、容赦なく降り注がれる熱。
�犧瓠蹐覆鵑童斥佞鮖廚ど發�べる余裕すらない。
ほぼ一方的に真っ白にされた頭は、情けなくもそのまま意識を飛ばし
全ての思考はそこでプツンと
呆気なく、途切れてしまった。
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きのこ(プロフ) - pipi_kpさん» え〜マジですか！？すごい！まだ覚えててくださっただけでも嬉しいです🫰ありがとうございます！このぐらいの短編は珍しいですが、また書きたいな〜！ (2023年1月11日 0時) (
レス) id: 4ab1c623f5 (このIDを非表示/違反報告)
pipi_kp(プロフ) - きのこさんこんばんは。let goが久しぶりに読みたくなってこちらへ来ました。冬になると毎年このジンくんとしょうくんを思い出してます。何度読んでも好きです！ (2023年1月10日 21時) (レス) @page40 id: c4a2b088a0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» いえいえ、あちらでもゆるっとよろしくお願いしまーすヽ(´▽｀)/ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
キンシコウ - ありがとうございます！！マシュマロ、了解しました、わざわざありがとうございます。 (2020年7月24日 0時) (レス) id: 89ad9cb972 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» どぉぞ〜。鍵垢ですけど、無言での申請で大丈夫でーす！今、ツアーの件でマシュマロ荒れてますけど、気にしないで下さいww (2020年7月23日 23時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年7月1日 23時
