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ブーブー文句を言う私の隣で
紫耀は、何も言わないままだった。
それに気づいてピタリと話すのを止め、恐る恐る隣の小さな顔を見上げる。
紫耀は、私のことを見ていた。
月明かりに照らされた瞳は、なぜかギラギラと輝いて見えて
さっき尖っていた口元も、今は何かを口にする途中のような半開きのままで
怒っているようにも
呆れているようにも
泣きそうなようにも見えて
見慣れぬ兄の顔に戸惑ったまま、何かかける言葉を探すためにフッと視線を逸らした瞬間
首元に鋭い痛みが、まるで電流のようにビリリと走った。
『ッぅあ痛ッ！！！』
咄嗟に目の前の逞しい体を押し除けようとしたけど、それは当たり前のようにビクともしない。
それどころか、いつもは一度噛んだらすぐに離してくれるのに、今日は更に深く歯を立てて力を込めてくる。
『イッ…たい…！！！紫耀！！！痛い！！！
やだっ！！！やだやだ！！！離して…！！！』
夢中で肩を押し返すけど、やはりちっとも動かない硬い体。
激しい痛みと共に、このまま食べられてしまうのでは…と言う本能的な恐怖心に襲われる。
猛獣に押さえつけられた草食動物のような気持ち。
恐怖
錯乱
抵抗
そして、圧倒的な敗北感。
今まで、紫耀は服に隠れる場所にしか痕をつけなかった。
それはつまり、ちゃんと選んで判断していると言うこと。
けれど今日は、思いっきり首元だ。
今は夏。マフラーでもタートルネックでも隠せない。
おかしい。
いつもの紫耀じゃない。
自然とボロボロ溢れて来る涙。
痛みに耐えるのに必死で、懇願の言葉さえ出なくなって来た頃…
紫「…知りたい？」
私の耳に掠れた声が、
鋭い痛みとはかけ離れた、穏やかな響きを伴って
まるで甘い液体のように
とろん…と、流れ込んで来た。
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きのこ(プロフ) - pipi_kpさん» え〜マジですか！？すごい！まだ覚えててくださっただけでも嬉しいです🫰ありがとうございます！このぐらいの短編は珍しいですが、また書きたいな〜！ (2023年1月11日 0時) (
レス) id: 4ab1c623f5 (このIDを非表示/違反報告)
pipi_kp(プロフ) - きのこさんこんばんは。let goが久しぶりに読みたくなってこちらへ来ました。冬になると毎年このジンくんとしょうくんを思い出してます。何度読んでも好きです！ (2023年1月10日 21時) (レス) @page40 id: c4a2b088a0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» いえいえ、あちらでもゆるっとよろしくお願いしまーすヽ(´▽｀)/ (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
キンシコウ - ありがとうございます！！マシュマロ、了解しました、わざわざありがとうございます。 (2020年7月24日 0時) (レス) id: 89ad9cb972 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - キンシコウさん» どぉぞ〜。鍵垢ですけど、無言での申請で大丈夫でーす！今、ツアーの件でマシュマロ荒れてますけど、気にしないで下さいww (2020年7月23日 23時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年7月1日 23時
