Lφve Rainbow【Kaito.T】

1 side...KAITO ページ1

糊の効いた白いシーツの上で、外から聞こえて来る部活動の喧騒にそっと耳を澄ませる。






いいね。




まっとうなコウコウセーっぽくて。






どんな季節も、ここは決まって消毒液の匂い。




けれどほんの少し開けた窓から入る柔らかな風は、もうすぐ訪れるであろう春の始まりを感じさせた。





すっかり定位置となった、保健室の1番奥のベッド。





放課後のぬるい空気の中でウトウトしていたら、ガラッ…と保健室のドアが開く音がした。





海「せんせ？」





「…なぁに。」





クリーム色のカーテン越しに聞こえる高い声。
いつもよりほんの少しだけ緊張感が滲んでいる気がするのは、俺の気のせい？








海「ガッコ、辞めるの？」









クッ…と息を呑む気配がする。
戸惑う姿が、見なくても脳裏に浮かぶ。


危ない危ない。
つい鼻で笑いそうになっちゃった。





「…何で知ってるの？」




海「担任がこっそり教えてくれたんだ。
俺、保健室入り浸ってるからさ。急にせんせぇがいなくなったらショック受けるんじゃないかって、心配したみたい。」




「……ショック、受けた？」





予想通り過ぎる言葉に、今度こそクスクスと笑いが漏れる。


知ってるよ。
今、せんせぇが俺に何て言って欲しいのか。





でもダメ。



だってもういなくなっちゃうんでしょ？



それならもうせんせぇの気持ち



繋いでおく必要、ないじゃん？





海「ま、大人には色々あるから仕方ないね。
新しいせんせぇ、可愛い人だったらいいな！」






わざとカーテンを開けてとびっきりの笑顔でそう言うと、先生の顔はみるみると青ざめて行った。


その様子に満足して、ヒョイっとベッドから跳び降りる。潰れかけの上履きを引っ掛け、保健室から出て行こうとした…



その瞬間。




驚くほど強い力で、グイッ！！と腕を引っ張られた。

2 side...KAITO→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す