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紫「…先輩。」
次の日、私は紫耀くんと顔を合わせても無視した。
目の腫れは引いていなかった。
キツく引いたアイラインで、どのくらい誤魔化せたのかは分からないけど。
私を見た紫耀くんの顔は
やっぱり今日も、怒られた子どものようにしょんぼりと沈んでいるように見えた。
挨拶程度の会話も無いまま、カリキュラムは予定通り17時で終了した。
けれど初日に受けたテストの採点に一部誤りがあったらしく、該当者には訂正したものを改めて配布します…と説明があった。
「まぁそんなこともあるよね」ぐらいに思って、特に気にしないまま夕飯を食べ、そのあとは自分の部屋でもらった資料を見返したり、荷物の整理をしたりして過ごしていた。
けれど、間もなくやることが無くなってしまった。
スマホは昨日紫耀くんの部屋へ置いて来てしまった。テレビも無いし、ぶっちゃけ手持ち無沙汰だ。
娯楽室でも行こうかな…。
知らない人に混じって観るテレビが、面白いとも思えないけど。
そんなことを考えていた時、コンコン…と控えめにドアがノックされた。
あれ?
もしかしてテストの誤表記、私も該当してたのかなぁ。
「はぁーい!」と返事をしながら慌ててドアを開けると、そこにはよく見知った美しい顔があった。
『…えっ!?』
驚いて、慌てて閉めようとするものの、
紫耀くんはシレッとドアの隙間に足を挟んで、真顔のまま無理矢理部屋に入り込んで来た。
『ししし新聞いりませんッ!!
新聞いりませんから!!!
ニュースはスマホでチェック派ですから!!』
紫「…そのスマホ、届けに来たんやけど。」
『…研修の時に渡してくれればよかったじゃん。』
紫「…野暮なこと言わんといて。
夜、会いに行く口実として取っておいたに決まっとるやん!」
『…じゃあホントは何の用なの。』
狭い部屋で、窮屈に向かい合う私たち。
岸先輩には聞かなかったことを、なぜか紫耀くんには自然とぶつけてしまっていた。
聞きたい言葉と、聞きたくない言葉。
自分の心の声は予想外に安直で、
わがままで
自分を傷つけるほどに、残酷だった。
紫「昨日ごめんな。」
『……………………。』
紫「友達なりたいって思ったのは、嘘とちゃうねん。…ホンマにそう思っとったよ。」
『…友達はあんなことしない。
紫耀くんは、そーゆーのが起こらない相手が欲しいんだと思ってたのに。』
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きのこ(プロフ) - まるこめちーはさん» おはざす!朝4時コースから6時間ほど経ちましたが、黒目ありますか?大丈夫でしょうか?こちらで圧倒的人気だったマスカレード優太、流されるままにメインで書いたら今度はそっちのサブのMJが強くて半泣きです。 (2020年2月10日 10時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
まるこめちーは(プロフ) - おばんです。……三人目は間違いだったようで。………きのこさん、私、四人目だったみたい!笑 岸!きし!!KISHI〜〜!!!笑 とりあえず、朝4時コース行って参ります。あざす。 (2020年2月10日 2時) (レス) id: d33d16680a (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - れみさん» はじめまして!わぉ!数日で全作読破ですか!?すごい、ありがとうございます!わずかにしか存在しないキュンや切ないも拾ってもらえて嬉しいです(^^)この先、ほぼ強制的に書くことになった岸くんルートが始まる予定ですので、またよかったら覗いて下さいヽ(´▽`)/ (2020年2月4日 18時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - きのこさんはじめまして。数日前にきのこさんの作品を見つけて読み出したところあまりの面白さに全作読みこんでしまいました。笑えてキュンとできて切ない描写もあったりで、本当に面白いです。これからの作品も楽しみにしております。 (2020年2月4日 16時) (レス) id: bcf67d4572 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - まるこめちーはさん» 目も手も忙しそうなママライフですねww最後だけ本気の皿洗いが出て来たの笑いましたww家事育児の息抜きに、きのこ特製のきしひらをエンジョイしてもらえたら嬉しいです(^^)とりあえず私は末っ子の筋トレは参加ではなく近くでひたすらシャッター切りたいと思います。 (2020年1月31日 22時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作成日時:2020年1月24日 17時