P・A・R・A・D・O・X【SHO】

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そのあと行ったカフェでも、紫耀くんは圧倒的に人目を引いた。



いつもよりほんの少し強めにつけられた香水と初めて見るラフな私服姿に、私ですら気を抜くと意識を持って行かれそうになってしまう。



…私は、なんでこんな人を今まで守ろうとしてたんだろうか。





圧倒的な戦闘力の差を感じる。



あぁ、アレか。
フリーザ様を守るギニュー特戦隊的な、アレ。


…いや、やっぱよくわかんないや……落ち着け、自分。。






『はぁー…』




仮とは言え、あまりに身分不相応なパートナーのオーラに押し潰されそうになり、ついつい溜息が漏れた。




紫「…どしたん？
せっかくのお休みの日に、そんな溜息ついて！」




やはりテーブルに組んだ肘をつきながら、私のことを笑顔で覗き込んで来る。
キラキラと輝く大きな目は、まるで宝石が閉じ込められているみたい。





『…いや……無理があるな、と思って。』





紫「はぁ！？！？
何がやねん！意味わからんわ(笑)」





紫耀くんが呆れたように笑う。
そんな私たちを見て、お葬式みたいなテンションだった妹が重い口を開いた。





妹「あのー…2人って、ホントに恋人同士なの？」




紫「そぉ！！
俺、職場の後輩なんですけどぉ〜。
優しくて親切なAちゃんのこと最初から大好きで、めっちゃアタックして、やーっとこの前オッケーもらったんですぅ！！」




妹の眉間にシワが寄る。



おそらく何か変な宗教やマルチ商法にでも引っかかってるモンだとでも疑っていたんだろう。
「職場の後輩」という真っ当過ぎる繋がりが意外で、こんな曇った顔をしているに違いない。





「彼氏さん、めーっちゃモテそーっスけどね！
お姉さんのどこが好きなんスか！？」




妹の彼氏からの、無邪気ゆえに殺傷能力抜群の質問がぶっ刺さって来た。



つまり、「あんたみたいな人が、なんでこんな地味なのと付き合ってんの？正気なの？」と聞いているのだ。



けれど紫耀くんはちっとも動じず、「全部やで！」と、華やかな笑顔で答えた。

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