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なんだかいまいち露天風呂を堪能しきれなかった気がする。体だけは、ちゃんとホカホカしてるけど。
洗い晒しの髪の毛を緩く上げて、せっかくなので部屋にあった浴衣を着てから上がると、永瀬が大きな目をさらに広げて私のことを見ていた。
廉「………秒で出て来るわ」
『ゆ、ゆっくり入って!!せっかくだから!!!
ゆっくり温まって来て!!湯冷めするよ!?』
廉「焦らすなぁぁぁああ〜!!
へぇぇえ〜〜〜、そーゆータイプだったんやぁ!なぁーんか意外…『いいからッッッ!!ごちゃごちゃ言ってないで早く入りなよ!!!』
ニヤニヤしてる永瀬を檜造りの露天風呂へ向かって蹴り飛ばす。
永瀬は、実際は10分くらいでお風呂から上がって来た。私の体感としては1分くらいだったけど…。
濡れた黒髪。
テキトーに着たのだろう、だらしなく崩れた浴衣。
既に危険な香りしかしない姿のまま、怯えたような顔でフリーズしている私をニヤリと見下ろすと、タオルでガシガシと髪を拭きながらペッドボトルの水を勢いよく飲み干す。
細い喉が上下に動き、首筋を水滴が伝う。
空のペットボトルをトンっ…とテーブルに置くと、そのまま部屋の入り口の方へとスタスタ歩いて行き、
「?」と言う顔の私のことは見ないまま
パチッと乾いた音を立てて
部屋の電気を消した。
『ひ、ひぇっ!?なんで消したの!?』
廉「あれっ、点いてた方がええタイプぅ?」
『いやいやいやいやいやいや……』
廉「んじゃこれでええやん!
洗面所でドライヤーだけして来るから、ちょい待っててぇ?」
何をどんな風に、どんな顔で待っていればいいのか分からず
逃げるように自分の布団に入り込んで、頭まですっぽりと潜る。
けど数分後、私を覆っていた掛け布団はガバっ!と言う豪快な音と共にあっさりと剥がされ、「ひぃっ!」とまぬけな声を上げた私のことを
床の間の淡い灯りに照らされた永瀬が
サラサラの髪の隙間から、覗き込んでいた。
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きのこ(プロフ) - ゆり:)さん» 気づくのが遅くなりました!さーせん!通知来てねぇぞ?(怒)おかわりしはは、ありがとうございます!白米は旅館で出るので、そのあとに布団の中でもっといいもの与えてあげて(自主規制) (2020年10月14日 11時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり:)(プロフ) - 久しぶりのしはは。感無量。良い子で平らげる廉さんに白米たくさん与えたい。ありがとうございました! (2020年10月5日 3時) (レス) id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ななかわさん» わーありがとうございます!微妙にノリの軽いチャラ廉は私もお気に入りですww好きになってもらえて嬉しいですヽ(´▽`)/たまーに質問頂くんですが、書いてる時は別にキュンともギュンともしませんww淡々としたもんで、全然潤わないですww (2020年4月16日 16時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ななかわ(プロフ) - きのこさんの作品でこちらが一番好きです。終始ドヤ顔風で、得意げにぜったい俺に惚れた!って思うれんくんを想像したらめちゃくちゃかわいかったのに、まさか真顔( ˙-˙ )で書いてらしたなんて……笑 (2020年4月16日 10時) (レス) id: fe68b6cd78 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - みずほさん» いえいえ、お話はお暇なときに読んでもらえれば十分ですよ!Black Jokeもハマってもらえて嬉しいです(^^)つい先日無事に完結しましたので、また思い出した時にでも覗いてもらえれば嬉しいです! (2020年4月16日 0時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作成日時:2020年1月16日 23時