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更に次の週。
紫「せんぱぁ〜い!今帰りですかぁ?」
明るい声を上げながらエレベーターに滑り込んで来た紫耀くんに驚いて、慌てて「開」ボタンを押そうとしたら間違えて「閉」ボタンを押してしまい、紫耀くんのがっしりした体躯が銀色のドアにベショッ!!っと挟まれた。
『ぁぁあああごめぇぇええん!!!』
紫「…先輩、俺のこと嫌い?」
『嫌いじゃない!嫌いじゃない!』
紫「じゃあ好き?」
『………まぁ、好きか嫌いかの2択でどちらか選べと言われたら好きだけど。』
紫「なんやその周りくどい言い方!
可愛くないなぁ(笑)」
…知ってるよ。
膨れた私を、紫耀くんが面白そうに覗き込む。
そのままなんやかんや話しながら会社を出たら、駅の改札で見慣れたシルエットが視界に入ってきた。
紫「あれ、廉やん!」
『あ、ホントだ。
なんだ、同じ帰り時間なら声かけてくれれば…』
資料の続きができたのに…と言いかけて気づいた。
永瀬の向かいに、小柄な黒髪の女の子。
水色のコート。
漫画みたいな上目遣いで、躊躇いがちに永瀬のコートの袖を摘む。
そんな仕草がよく似合う、
可愛い可愛い、私の妹。
2人は何か話しながら、早足で改札を抜けて行く。
紫「あれぇ?なんや、見かけない子やなぁ。
廉の彼女?何も聞いとらんのやけど。」
『…あれ、私の妹。』
紫耀くんが「えぇっ!?例の!?!?」と、落っこちそうなぐらい目玉を剥き出しにしてこちらを見ている。
『…この前、ウチで永瀬と資料作ってる時に鉢合わせて、遅かったから帰り送ってもらったの。
もしかしたら、その時にいい感じにでもなったのかな…。』
あはは…と力無い笑いが漏れる。
そっか。そうだよね。
永瀬もやっぱり、あの子がいいよね。
好きになっちゃうよね。
永瀬はカッコいいし
調子良くて口は悪いけど根は優しいし
素直で純粋な人だって、よく知ってる。
だから今度は安心できる。
きっと妹も大切にしてもらえる。
なのに、どうしてなんだろう。
上手く言えないけど
宝物を取られたように
泣きたくなるのは。
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きのこ(プロフ) - ゆり:)さん» 気づくのが遅くなりました!さーせん!通知来てねぇぞ?(怒)おかわりしはは、ありがとうございます!白米は旅館で出るので、そのあとに布団の中でもっといいもの与えてあげて(自主規制) (2020年10月14日 11時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり:)(プロフ) - 久しぶりのしはは。感無量。良い子で平らげる廉さんに白米たくさん与えたい。ありがとうございました! (2020年10月5日 3時) (レス) id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ななかわさん» わーありがとうございます!微妙にノリの軽いチャラ廉は私もお気に入りですww好きになってもらえて嬉しいですヽ(´▽`)/たまーに質問頂くんですが、書いてる時は別にキュンともギュンともしませんww淡々としたもんで、全然潤わないですww (2020年4月16日 16時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ななかわ(プロフ) - きのこさんの作品でこちらが一番好きです。終始ドヤ顔風で、得意げにぜったい俺に惚れた!って思うれんくんを想像したらめちゃくちゃかわいかったのに、まさか真顔( ˙-˙ )で書いてらしたなんて……笑 (2020年4月16日 10時) (レス) id: fe68b6cd78 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - みずほさん» いえいえ、お話はお暇なときに読んでもらえれば十分ですよ!Black Jokeもハマってもらえて嬉しいです(^^)つい先日無事に完結しましたので、また思い出した時にでも覗いてもらえれば嬉しいです! (2020年4月16日 0時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作成日時:2020年1月16日 23時