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「それじゃ皆さん、お元気でぇ〜！
ありがとうございました！！」
ハキハキした声で挨拶した永瀬くんがフロアを去ろうとした瞬間、人だかりから誰かが一歩踏み出して、永瀬くんの前へと立ちはだかった。
「えっ…優太？」
目を見開いたまま見下ろす永瀬くんと、そんな彼を真剣な表情で見上げる優太。
「ぜってぇー幸せにしろよ！！
死ぬまで笑わせ続けろよ！！そーじゃなかったら、許さねぇかんな！！！」
私たちが自然消滅したことは、暗黙の了解。
口には出さないけど、どうせみんな知ってる。
そんな居心地の悪いフロアにバズーカで風穴を空けるような、ボリュームの壊れた大声。
あっけにとられる聴衆の後ろに、お腹を抱えて大笑いしてるジンくんが見える。
永瀬くんは何度か瞬きしたあと、意地悪そうにニヤリと片頬を上げると
「当たり前やないですか。
バカみたいに出世して、世界一幸せにしますって。
きっさんも、Eテレ頑張ってくださいねぇ〜」
「…Eテレ？？？」
みんなが「あっ…」って顔をしてる中で、1人頭に「？」を浮かべてる優太。
そんな彼を残して、ヒラヒラと萌え袖の手を振りながら、永瀬くんは会社を去って行った。
また残されたけれど、今度は寂しくない。
1人じゃない明日は
宝石みたいに、キラキラと輝いて見えるから。
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作者名：きのこ
| 作成日時：2023年8月21日 1時
