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その後も騙し騙し一緒には暮らしていたものの、例の「元カレ」が戻って来たら、目に見えてAさんは荒れ出した。
俺にできることは、宥めて安心させることだけ。
泣いたら頭を撫でて、震える夜は抱きしめて眠った。
それでもいざ「元サヤ」となれば、すぐに荷物をまとめて去らなければならない立場。
覚悟はしていたものの、ホンマにそれを突きつけられたらさすがにしんどくて、それまで抑えていた不満や怒りを一気に吐き出して、衝動的に家から出て行こうとした。
彼女は、そんな俺を引き止めた。
「出て行かないで」って。
「他の人のところに行かないで」って。
「何も持たない俺でもいい」って
そう、言ってくれた。
もう何も考えられなくなって
やっと報われた想いに、溜まりまくってた「ヨッキューフマン」を思いっきり吐き出しまくって
もしかして俺、今世界一幸せかな？なんて浮かれて眠った、次の朝。
「ねぇ、キミ誰？」
昼過ぎの日差しの中、ソファで甘く微睡む俺のことを覗き込んでたのは
見たことも無い、ふにゃふにゃした男の人やった…
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作者名：きのこ
| 作成日時：2023年8月21日 1時
