ダイヤモンドスマイル 2【Ren.N】 (ページ12)

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毎日楽しかった。
会社ではあんまり笑わんAさんが、家では俺の話で大きな口開けて笑ってくれるのが嬉しかった。

ホンマは俺が劣等生やってバレても、Aさんはバカにしたりしなかったし、案外器用なAさんと一緒に部品なんか作ってると、苦手やった作業もなぜかいつもより楽しく感じた。

〝好きなのかも″って、ホンマは気付いてた。
もしかしたら一緒に住み始めるより、もっと前から。

けど今の中途半端な俺じゃ、Aさんの希望である寿退社なんて、叶えてあげるの絶対無理やし。
そもそも自然消滅した元カレが忘れられなくて、多分やけど、まだ心のどっかでその人のこと待ってるみたいやし。

男としては、お呼びでない。
初日のアレは、ただのちょっとラッキーなアクシデント。
いや、知らないままならこんなに苦しくなかったんだとしたら、むしろアンラッキーやったのかも知れんけど。

目の前に世界一欲しいものがあっても、引き換えにできるものを何も持っていない自分。
「まだ若い」ってだけじゃなく、明るい未来さえ約束できへん。

だから雨の中置き去りにされたって、恨み言ひとつ言える立場でもない。

つらいな
苦しいな

俺も、

彼女にとっての「何か」に

なってみたかったな。

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