今日:27 hit、昨日:13 hit、合計:30,929 hit
小｜中｜大
51 ページ2
「…もう、新しい彼女でもできてるかと思った。」
「んなワケねぇじゃん！
そんなら何でわざわざお前と別れたんだよ！
彼女いていいなら別れなかったよ、絶対！」
何の飾り気もプライドも無い優太のバカデカい声に、不意に涙が出そうになった。
無機質だった1年が、急に報われたような気分。こんな風に何の計算も無く奇跡を起こすところが、やっぱり優太は優太だと思った。
懐かしい味のお蕎麦を食べ終え、チラリと時計を覗く。
「あのさ、話ってそれだけ？
私、そろそろ帰らないと…」
「え、そうなんだ！
えーっと…あのさ、またこうやってご飯とか行ける？嫌だったら、全然無理しないでいいんだけど。」
「…考えておく。
あの…今日、声かけてくれてありがとう。」
「何だよ、改まって！
また同じ会社なんだし、たった1年でそんな他人行儀になんなくたっていーじゃん！」
「…そうだね。」
グイグイと引き寄せられる、魔法のような吸引力。このまま逆らわずにいれば、ヨリを戻せるのかもしれない。
きっと優太はあの時みたいに、言い出すタイミングを計りかねているだけだ。お酒の一杯でも入ればすぐに話はまとまって、また2人で、本当はお互いずっと待ち望んでいた毎日を送れるはず。
空白の1年なんて、優太が笑い飛ばしてくれれば、きっとすぐに無かったことになる。
けど…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 622人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きのこ
| 作成日時：2023年8月21日 1時
