Brulee 【Ren.N】

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『ちょっと！どこ行くの！？』




またしてもクネクネした路地裏をさっさと進んでいく永瀬くんの背中を必死で追う。そもそもの足の長さが違うので、かなり早歩きしないと置いていかれるのだ。




「ハラ減らん？」



永瀬くんが振り返る。



『え、買い物は？』



「オマエが変身してる間にスニーカー買ったから、もうええわ。」



『何それ！話が全然違うじゃん！！』



びっくりするわ、本当！！
何なのこの人！！



「俺、焼肉食いたい。」



『やだ。』



「なんでやねん！？
焼肉嫌いな人なんてこの世におらんやろ！！」



『焼肉は好きだけど、せっかくの新しいジャケットが煙くなるから今日はヤダ。』



永瀬くんは切れ長の目を見開いて、

「はぁ。」

と、気が抜けたような声を出した。



「何や、なんだかんだで気に入ってるやん。」



『そりゃあ、こんな可愛い服着るの何年ぶりって感じだし。大事にしなきゃ。』



「ヒッヒッヒ」




変な笑い方…。


せっかく爆モテイケメン現役大学生(自称)なのに、なんかどっか残念だよなぁ、この人。



結局こじんまりしたイタリアンの個室に入って、やたら美味しいパスタやピザをお腹いっぱい食べた。
食後にアイスまで食べて、やっぱり永瀬くんがお会計してくれた。


半分払うつもりで、かなり食い下がったのだが、彼は頑として一円たりとも受け取ってくれない…



『だって、せっかく永瀬くんが体で稼いだお金でしょ！？悪いよ！』



「なんや誤解を招く言い方、やめてもらえる？」



『歌って踊って、笑って笑って、それでもらえたお金でしょ？無駄遣いしちゃダメだよ！』



「…なんでAとメシ食うんが無駄遣いになんねん。」



『…え？』



「俺が来たくて連れて来て、一緒に食いたくて食ったんやから、別にええねん！
おかげさまで明日からも歌って踊ってニコニコ笑うお仕事がてんこ盛りやしな！年末なんて出ずっぱりやで！大儲けやっちゅーねん！」



『永瀬くん…。』



「だから、気にせんでええのよ。
何なら明日の発表の前夜祭や！！
食い慣れないもん食ったからって腹壊すなよ！！」



『う、うん！！』
　


永瀬くんが、満足そうにニヤリと笑う。



「さて、真面目な俺は明日に備えてもうそろそろ帰るで。」



『そうだね。』



またしてもタクシーを止めて、2人で乗り込む。
永瀬くんが私の家の近くを指示してくれている。どうやら送ってくれるようだ。


さすが爆モテイケメン大学生(自称)。

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