30 ページ30
「おっじゃましまぁーす」
軽快な挨拶を響かせ、再び永瀬廉が私の狭い部屋に現れた。
背の高い彼がいると、ただでさえ狭い部屋が一層狭く感じる。ひどい理不尽を感じながらも、とりあえずはお茶を淹れた。
「これこれ！いただきまーす。
あぁ〜生き返るわぁ！やっぱ焙じ茶やなぁ！！」
本当にうるさい。
でも今日私は、彼にめちゃくちゃ散財させているはずだ。
自称売れっ子アイドル永瀬くんにとっては大したことないのかもしれないが、私にとっては絶対に大金だ。
焙じ茶ぐらい淹れないと、さすがに夢見が悪い。
「ヨイショッと。」
おもむろに永瀬くんが立ち上がる。
何だろ？お茶飲んだら気が変わって、家に帰るんだろうか。
「悪いんやけど、着替えてええ？」
いきなり着ていたシャツをガバッと脱ぐから、驚いて
『きゃっ…！！』
と、小さく叫んでしまった。
「なんや、可愛い声出して！」
ニヤニヤする国宝を睨みつけて、グイグイと脱衣所に追いやる。
「何やねん！
俺の裸なんか、別に珍しくもないし！雑誌に載り放題やで！？」
などと悪態をつきながらも、これまたシャレたジャージに着替えてから出てきた。
入れ替わりで脱衣所に入り、私も部屋着に着替える。
可愛いピンクのジャケットは丁寧にハンガーにかけた。
そして戻ったちゃぶ台には、永瀬くんがコンビニで買ったお菓子とジュースが所狭しと並んでいた。
『買い過ぎ！！』
「ええやん、何が好きかわからんねんもん。なるべくジャンルが被らないよう買ったら、こーなった。」
コーヒーの件と言いこういうところと言い、優しいは優しいんだよね。強引で口悪くて、意味わかんないナルシストだけど。
でも実際ここまで顔が良ければ、自分で言っても許される気もしないではない。
「好きなの開けてええで！」
ふんわりと笑うと、綺麗に並んだ白い歯が見えた。
綺麗。
たかが顔の皮一枚。
それが、こんなにも綺麗。
嫌いなのに、笑っただけで痛いほどに心が掴まれるのは、一体どういうカラクリなんだろうか。
それとも慣れないこの感情を呼び起こす、この現象こそが、本物のアイドルの力なんだろうか。
世間知らずの私には想像すらできず、
ただ無言で、�爐�のこの山�爐房蠅鮨�ばした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1407人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ(プロフ) - よしさん» いえいえ、こちらこそ〜！！Freak outも、楽しんで頂けたら嬉しいでーすヽ(´▽｀)/ (2021年1月24日 16時) (
レス) id: 0a6f63d686 (このIDを非表示/違反報告)
よし(プロフ) - きのこさん！！ありがとうございます！楽しみにしてます！！Freak ｏｕｔ挑戦してみます!!ありがとうございます(/^-^(^ ^*)/ (2021年1月24日 5時) (レス) id: eebe64cef8 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - よしさん» すみませーん！続きはまだ調整中なので、終わったら全体公開にします！しばしお待ち頂ければと思います(>_<)Freak outはフラグ読める設定になっていれば、私の作品一覧から行けると思うのですが… (2021年1月24日 0時) (レス) id: 0a6f63d686 (このIDを非表示/違反報告)
よし(プロフ) - きのこさん!いつもキュンキュン話で大好きです。この続きを読みたいのですが、パスワードを教えて頂きたいです。あと、Feakeoutにアクセスできずで、読み方の方法を教えて頂きたいです。 (2021年1月24日 0時) (レス) id: eebe64cef8 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - かなたんさん» 高校生って、とても貴重な時間だと思いますよ！廉くん大好きな方に読んでもらえてよかったです。どうぞ毎日を楽しんで！ (2020年6月18日 10時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きのこ
| 作成日時：2019年4月4日 22時
