ここは「ヘタリア」の世界みたいです。

２５　師匠を待ってるみたいです。 ページ29

「甘い物は好き？」

「好きです」

「もう本当お兄さんの家来なよ相手ならしてあげるから」

「はあ」


…師匠まだかなあ。

言われた通り外に出て待っている、フランさんと一緒に。

暑くもなく寒くもないっていうのはいいことだと思


「なんたって俺の家は愛の国だからね！」


…師匠まだかなあ。

師匠がいなくなってからずっとこの調子なんだよな、この人。

人…？

いやいや、そうじゃなくて。


「そういえば雫ちゃんはさ」

「はい」

「ぶっちゃけあいつのどこがいいの？」


…師匠まだかなあ。


「…うーん…『いい』とかじゃなくて、何て言うか、助けてもらったというか…」

「助けてもらっただけでその入れ込み様？男にだまされるよ〜？」

「…助けてもらい方がかっこよかったんです」

「どんな風に？」

「諭されたというか、何というか…」

「あ―…どーせあいつのことだから無駄にかっこつけたんでしょ？」

「…多分それだけじゃないと思います…」



…きっともどかしいんでしょ。自分が何を言っていいのか分からなくて。

目の前の女の子は、何だかよく分からない違和感に包まれている危険な存在。

そんな子となぜかギルちゃんが仲がいい。

まあ、お兄さんだって物分りが悪い方じゃないから、危険な存在に惹かれるっていうのは分かるけど。

そんなこと抜きにしてこの子、本当にギルちゃんのこと信じてるんだなあ。

本人達は多分気づいてないでしょうね、ギルちゃんのことだし。

出会ってすぐの女の子をオトすとか、お兄さんはどうかと思うんだけどねぇ。


「？」

「いや、馬鹿にしたわけじゃないからね」


笑ったのを気づかれたみたい。

その勢いで軽くこの子の髪に触れる。


「！」


…慣れてなさすぎでしょう…。

こんなにビクッてなるとは思ってなかったよ。

くしゃくしゃ、と撫でると元に戻るのね…。


「ねえ雫ちゃん」

「大切なことは、きちんと言った方がいいよ」

「え？」

「今のところはお互い心配なさそうだけど、覚えておきなよ」

「はい…？」



「待たせたな！」


やっと師匠帰ってきた！


「君の師匠、本当に君が好きみたいだね♪」


イヴァンさんまでいるよ！？


「んじゃ、帰るぞ」

「あ、はい！」



二人が行ったあと、残った二人はぽつり。


「物好きだよねえ、ほんと」

「珍しくフランシス君とおんなじこと考えてたみたい」

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