雨の音。 (ページ3)

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０３Yamada. ページ3

｢痛って…｣

右肘を見てみれば、かすり傷。

良かったわ、大した怪我してなくて。

って誰やねん衝突してきた奴は。

大雨の中ユニホームがびしょ濡れになったやん。どうするんや。

怒りがが収まらず、相手を睨みつけた。

｢…え？｣

女の子や。

しかもヤクルトのユニホーム着とる。

背番号を見てみると、そこには“YAMADA”の文字が。

僕のファンだったんか。

｢あのー、大丈夫すか。｣

声を掛けても返事が無い。

女の子は、僕以上に濡れていて服は透けとるし、スカートはめくれてもうてる。

目のやり場に困るやろ！

｢…ﾁﾗ｣

罪悪感がありつつも、下心丸出しで僕はそれを見た。

｢(ほー…黒！？)｣

ガキのくせにこんな色気のあるブラ着けとるん！？

じゃなくて！

｢え？おい。｣

｢…｣

｢あ、あかんわ。｣

この子、意識失ってもうてる。

頭強く打ってもうたんか。

ひとまず僕は周りに人がいないことを確認し、彼女を抱き上げ、急いでクラブハウスに向かった。

｢あー？山田どしたんだその子。｣

宮本さんの声がした。

さっき球場に携帯置いてきちゃって、やばいと思って急いで走ってたら、ぶつかってもうたんです。だけどこの子返事しなくて…｣

｢おい。今すぐこの女の子を慶應病院に連れて行け。騒ぎになる前に、早く。｣

そんな宮本さんの声には、どこか緊張があった。