雨の音。 (ページ2)

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球場入口前に何かが貼り出しされていた。

“6月7日(金)18:00より明治神宮野球場で行われる予定でしたオリックス戦は、15:20に天候の回復が見込まれないため中止となりました。
なお、振替試合は未定です。
詳細は発表になり次第、球団公式サイト等でご案内いたします。”

｢…え？え？え？嘘でしょ？嘘でしょ？なんで？私…｣

この日の為に、頑張ってきたのに。

この日の為に、努力してきたのに。

この日の為に、色んな事を、我慢してきたのに。

私の心に、ぽっかりと大きな穴が空いた。

｢しかも15:20頃って何…私知らないんだけど…｣

中止なんて聞いてないよ！？

周りを見回しても、人通りも少ないし、大粒の雨が降り続けているだけだった。

あーーーもう最悪最悪最悪最悪最悪！！！！！！

突っ走って帰ろうとした次の瞬間、私は何か大きなモノに衝突した。

『っ…』

そのまま私は道路に突き飛ばされた。

｢い痛っ…あ…｣

私の横に、隣で男の人も私と同じように倒れていた。

「痛…」

すると、男の人が立ち上がった。

貴方は…誰…？

雨で目が曇ってて、顔がよく見えないや…

私も立ち上がろうとしたが、痛くて、というより感覚が無くて、思うように体が動かない。

｢これあかんわ、｣

｢…ふぇ？」

突然私は体を軽々と持ち上げられた。

｢(あれっ、頭がぼうっとして…)｣

ここで私の意識は飛んだのであった。