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様子を見ていた不良たちの中で、ちょうど悪い位置にいた谷川を避かすと、持っていたピストルを構えた。
間違えて指飛んだらごめんね。
パァン!
「「「「「ひぇぇええ!??」」」」」
突然の銃声に、腰を抜かす不良共。
放った銃弾は、上手く八島華のナイフを弾いた。
その威力に小さな悲鳴を上げて、手を庇う彼女。
俺は構わず、ズカズカと歩み寄る。
「…ッ…なにすんの―――」 ドガッ!!
肩を蹴って、仰向けに転ばす。
「君のお父さんに感謝してね。八島賢介も嫌いだけど、なにより君が一番不愉快だった」
そのまま鎖骨あたりを踏みつけると、膝を折ってピストルの銃口を首にあてる。
「世の中には欲しくても手に入らないものがある。君はまず一番にそれを学ぶべきだ」
生涯一度も向けられたことがないであろう銃口。
その冷たさに身を震わせているのが、ピストルを伝って感じられた。
「二度と人の男に手ェ出すな」
大きく見開いた目。
恐怖と緊張で固まった身体に、少しは薬になっただろうと俺はようやく彼女を離した。
すかさずA組の組員たちが彼女を縛る。
(一応カタギなのに、やりすぎたかな)
大人気ない。
ちょっと反省。
そんなことを思いながら振り返ると、色んな目が俺を見ていてギョッとした。
「…な…なに」
三橋と伊藤にニヤニヤ顔。
理子ちゃんのきらきらした目。
興奮気味な開久の不良たち。
そして何故泣いている今井。
「「「「うおおおおお――――!」」」」
「なに今の!!なに!?しびれる!!」
「Aが…!智司さんと相良さんを…!!」
「くぅうう〜〜〜!!言われてみてぇ〜〜!!」
「Aオメー、ついに認めたな」
「ケケケケケッ、しばらくオメーをイジるネタができたぜ」
「ダンソウメイくん!ダンソウメイくん!…今の京子ちゃんにも言っていい!?」
「なんで…?汗」
「うおぉぉぉおおん!!」
「今井さ――――ん!思い出して!!涼子ちゃんを思い出して―――!!」
「何泣いてんだコイツ」
「知らね」
三橋の脇に首を掴まれて、重いし逃げれないし頬を突かれるし。
やめろっ、痛い。地味に痛い!
「A、やっぱり二人とも付き合っちまえよ」
「それが平和的解決だ。オメーがどっちか選んだら、A組で戦争勃発すんぞ」
「うるさいよ」
パツキンとウニ頭にピストルの銃口を向ける。
ドタドタ逃げる二人にフッって銃口の煙を吹く真似をした。
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…!糧すぎる!執筆の糧すぎるわ――!!(ドンチャン騒)これはとことん付き合ってもらいましょう!えぇ!勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいてます!何回も読み直すくらい大好きな作品です!三週目終わった所です…笑これからも応援してます! (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね!(それを表現できる文才があるかどうかは別として)。最後までどうぞよろしくお願いします! (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています!! (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2023年5月29日 18時