カメレオン11【今日から俺は】

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91話


相良と二人きりで過ごしている間に、宴会はお開きの時間になってしまったらしい。
ここからは個々で好きに飲みに出るのが毎年の流れ。
酒に興味のない俺はいつもこのタイミングで帰宅する。
智司と相良が俺に合わせて一緒に帰ろうとしていたところに、突然テツが近づいてきた。

「たぁ〜けぇ〜しぃ〜！オメー、なァに勝手に帰ろうとしてんだよぅ〜」
「いやテツさん…俺、Aの付き人スから」

真っ赤な顔で腕にしがみつくテツを、気持ちウザそうに遠ざける相良。
話を訊けば、場所を変えて飲みなおそうと“相良だけ”誘いにきたらしい。
あえて彼一人だけ連れていこうとしてるのは、別室での話を聞き出そうとしているのかもしれない。

(叔父さんの案かな？)

俺から直接訊けばいいのに。
男の恋話でも開くつもりだろうか。
そんなことを思いながら呆れていると、今度はギンが近づいてくる。

「諦めろ、猛。3代目から直々の誘いだ」

ギンの言葉に顔を引きつらせる相良。
味方が居ない事を悟ると、彼は急に俺の手を強く掴んだ。

「………………」
「目線で助けを訴えてくるなよ」

叔父さんに歯向かえない気持ちはわからないでもないけど、君天下の開久元番長なんだろ。
…まぁいいか。

「テツ、ギン。話ならまた今度にしてやったら」
「ええっお嬢！猛に味方するんですかィ！？」
「当たりまえだろ」

無理強いよくない。

「叔父さんには俺から上手く言っておくから。今日の所は諦め―――」

俺の視線が彼の後ろを捉えた。

「………………」
「………………」

何故か相良の後ろで、笑みを浮かべているアルがいる。

「……………悪い相良、やっぱり行ってきてくれ」
「はっ！？」
(あれには勝てない。絶対勝てない)

それでも諦めない相良に抱きつかれていると、有無を言わせないアルと、日和見なギンと、悪酔いしたテツに引っぺがされて連れていかれた。

「智司、テメー抜け駆けしたらぶっ殺す！！」
「なんの抜け駆けでしょうねぇ」
「いやー！楽しみだなァ、猛！」
「まぁ、日が出る前には解放されるだろうぜ。それまでは我慢しろ」

あのメンツで恋話だなんて。
地獄だろうな、相良。

「…アイツ、大丈夫か」
「どうだろ」

叔父さん発案でアルも悪絡みしてることには手を出さない方がいい。
碌なもんじゃないから。
…ってことで、ごめんな相良。犠牲になってくれ。



　カメレオン



「A家に向かっていいんスか？」

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