カメレオン11【今日から俺は】

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「動かない方がいいよ。俺よりあのおじさんたちの方が怖いから」

大きな音と飛び散る氷に、青い顔して竦む女の子たち。
俺がニッコリ笑って腕を離すと、腰が抜けたのか…素直にストンと席に座った。

「良い子だね」















ネオン街から少し離れた公園のベンチ。
組員たちが買ってきた温かい飲み物一つで大はしゃぎする成蘭女子たちを、京子ちゃんと二人で座りながら見ていた。

「Aさん、本当にありがとうございました」
「いいよ。無事解決できてよかったね」

阿多高の女の子たちからは、無事お金を取り戻すことができた。
あの後は特に乱闘が起きることもなく、VISTELの責任者も違法行為を警察に通報されたくないからか…慌ててうちに頭を下げて、店から出してくれた。

しばらくはうちを警戒して未成年を店に招くことはしないだろうが、経営難を理由にまた別の違法行為に手を染めそうだから監視しとかないと…。
アルに報告だな。

「あ！そういえば伊藤さんから聞きましたよ。学校、停学になっちゃったって」

すんごいションボリしてました、って表情を再現してくれる京子ちゃん。

「あれ、八島組の抗争が原因なんですよね」
「そうだけど…まぁ、大したことないよ。卒業もできるし。関わった皆の事は守るって決めてたから、後悔もしてないしね」
「Aさん…」

しめっぽい空気に苦笑いを溢す。
話題を変えようかな。

「伊藤は元気？」
「え、あ…はい！最近はあたしが勉強ばかりでデートの回数も減っちゃったけど、昨日は一緒にパフェを食べに行ったんですよ！」
「それは良かったね」
「はい！…あ、それから三橋さんも元気でしたよ！この前、今井にバックドロップかけてました」
(何やってんのアイツ)

そのうち誰かに通報されて捕まるんじゃなかろうか。

「理子ちゃんと同じ学校に行く為に勉強頑張ってるんでしょ？偉いね」
「えへへ。分からないところは理子さんが教えてくれるんです。いいところの学校行って、いいところのお仕事見つけて、伊藤さんがどんな将来を描いても一緒に生きていけるように私が稼ぎ頭になろうと思って！」

たくましいな。

「愛の力だね」
「そうですよ！私は伊藤さんの為なら何だって頑張っちゃうんですから！」

えっへんと得意げに胸を張る京子ちゃんの可愛らしさに笑みをこぼす。
口元に手をやったとき、彼女が「あっ」と声を上げた。

「それ、誰から貰いました？」
「？」

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