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89話


ネオン街の路地裏に響く男の悲鳴。
ハンパなナリした輩の男は、組員の蹴りで垂れた鼻血を手で覆うと、怯えた目をむけて逃げて行った。

「これに懲りたら、二度とこの店にいちゃもんつけんじゃねぇぞ!」

それを見てホッと胸をなでおろすホステス。
マネージャーの男が何度も頭を下げた。

「ありがとうございます、助かりました!」
「いいよ。…営業邪魔してごめんね」
「滅相も無いです!本当にありがとうございました」

しつこく頭を下げるマネージャーを手で制すと、そのまま背を向けて通りに戻る。

「最近、銀龍会の残党がよく現れますねぇ」
「うちの縄張り狙ってやってんスよ。逆恨みもいいところだぜ」

今にも何か降り出しそうな雲。
今夜は雪でも降るのかな。

「お嬢…なんか上の空ッスねぇ」
「ばか、わかってても言うんじゃねぇよ。色々と背負ってらっしゃるんだから」

空を仰ぎ見ていると、ふと奇抜な服が視界に入って目を向けた。
その意外な人物に、俺は思わず目を見開いた。



 カメレオン



「あれ…Aさん?」

大人の欲が蔓延るネオン街。
そんな場所に居るはずのない彼女たちの姿が目に入って、俺は思わず足を止めた。

「え、京子さんヤクザと知り合いなんスか!?」
「ぱねぇ!ぱねぇっす京子さん!」
「おい、テメーら静かにしろ!恥ずかしいだろ」

先頭を歩く京子ちゃんと明美ちゃんの後ろには、一度ぐらい見たことがある成蘭女子たちの面々。
俺はちらっと組員に目配らせすると、彼らを少し後ろにさがらせる。
再び視線を戻すと、明美ちゃんがいつまでも騒ぐ女の子たちの頭に制裁の一撃を加えていた。(痛そう)

「お仕事中ですか?」
「そうだけど…。どうしてこんなところに?」

時刻は23時。
高校生がうろついてていい時間じゃない。

「それが聞いてくださいよAさん!実は昨日、うちの生徒が何人か阿多高の奴らにフクロにされちまって…。あいつら、ボコった生徒から財布抜き取ってたんスよ!」
「その金使って繁華街に遊びに行ってるって情報掴んだんで、今から奪い返しに行こうと思って」
「なるほどね」

補導されないように私服を選んだのかな。
でも、大人っぽく見せようと無理やり見繕ったものがあまりにも不格好で、逆に目立ってることには気づいていないんだろうか。

「すごい恰好してるけど…」
「あ…あの、これは!家にあるものかき集めたら、こんなものしか見つからなくて…」
「これでもまだマシな方なんスよ」

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…!糧すぎる!執筆の糧すぎるわ――!!(ドンチャン騒)これはとことん付き合ってもらいましょう!えぇ!勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいてます!何回も読み直すくらい大好きな作品です!三週目終わった所です…笑これからも応援してます! (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね!(それを表現できる文才があるかどうかは別として)。最後までどうぞよろしくお願いします! (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています!! (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2023年5月29日 18時

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