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慌てて駆け寄る二人。
しばらくして、女の子は小児科担当の看護婦さんに連れていかれた。
残された男の子たちは心配そうに見つめていたが、やがて二人だけで遊び始める。

(女の子の事なんて、無かったみたいに)

そんな彼らの笑顔が、あの二人に重なって見えた。








「―――――…」








彼らもそうなんだろうか。

俺と出会わなくても
二人だけで力を合わせてやっていけたんだろうか。

俺が居なくても
あんな風に笑って生きていたんだろうか。


「………………」


二人が呆れて離れていくのを、頭のどこかで予想してる。





(意気地なし)





鼻の奥がツンとしたような気がして、子供たちから視線を逸らした。

「…やっぱりA組は呪われてるよ」
「俺の所為じゃあねェぞ?」
「だとしたら、ご先祖様の所為かな」

今度大阪に行った時に文句の一つでも言ってやろう…なんて、口元を無理やり吊り上げた。
叔父さんは黙ってそれを見てる。

手元にあるメリケンを擦った。
悩むと擦る癖…治したいな。

「A」

困らせてしまった叔父さんが、俺の名前を呼ぶ。
作り笑いで「なに?」と振り返る自分を、殴ってやりたくなった。








「逃げるか?」








目を見開いた。








叔父さんは、真っ直ぐな目で俺を見つめる。








「逃げてもいいぞ。…だがな、逃げるのはおめぇさんが一番嫌ってた親と同じやり方だぜ」








想い人に嫌われるのが怖くて、向き合うことから逃げた父。
血が繋がっていようと、嫌いな男から生まれた娘を愛することから逃げた母。





「よく考えろ。俺ァおめぇさんを導けねぇ。…一度失敗した男だからな」





叔父さんの言葉が胸を刺した。
俺は何も言い返せず、ただ手の中にあるメリケンを強く握ることしかできなかった。






――――――

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…!糧すぎる!執筆の糧すぎるわ――!!(ドンチャン騒)これはとことん付き合ってもらいましょう!えぇ!勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいてます!何回も読み直すくらい大好きな作品です!三週目終わった所です…笑これからも応援してます! (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね!(それを表現できる文才があるかどうかは別として)。最後までどうぞよろしくお願いします! (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています!! (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2023年5月29日 18時

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