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88話
A家を出て、自然と病院へ足を進めた。
「はぁ…」
さっき相良が見せた表情。
きっと傷つけたに違いない。
「なにやってんだろ、ホント」
誰よりも大事なのに。
その言葉を実行できない自分に、無性に腹が立った。
カメレオン
「突然見舞いにきたかと思ったら…」
病院の窓枠に腰を下ろして、プラプラと足を揺らす。
気持ちを落ち着かせるために握ったメリケンを親指で擦っていると、後ろからため息が聞こえた。
「なァに黄昏てやがんだ」
ベッドで大人しく座っている叔父さんに振り返ると、俺は「ごめん」とだけ返す。
(だって、家には帰れない)
気まずすぎて死ねる。
「総一郎さん、お薬塗りなおしますねー…ってあら、こんにちは」
「こんにちは」
看護婦さんが病室に入ってきた。
頭を下げると「落ちないでくださいね」と返されてしまう。
…気を付けます。
「総一郎さんはたくさんお見舞いの方が来られますね」
「騒がしくてたまらねぇよ」
「そう言って、嬉しいでしょうに」
クスクス笑って看護婦さんがお腹の包帯と薬のついたガーゼを付け替える。
「怪我の経過、どんなもんですか？」
「先生は、もう2，3日すれば退院してもいいだろうって仰ってましたよ」
2，3日か…。
そういやアルも明日退院決まったんだっけ。
来週は今年最後のしのぎになりそうだから、なんとか追い込みできるかも。
「ありがとうございます」
「いーえ、また何かあったら呼んでくださいね」
処置を終えた看護婦さんが出て行く。
叔父さんはベッドから出て車椅子に座ると、俺の傍まで近づいてきた。
「見てて楽しいモンでもあるのか？」
「全然。いつも通り」
殺風景な青空。
ほんの気持ち広さのある中庭には、気分転換に散歩をする入院患者たちがいる。
「しのぎはどうだ。つらくねぇか」
「たった今放り出してきたこのタイミングで訊かれたくないけど…まぁ、問題はないよ」
「そうだろうな」
カラカラと笑う叔父さん。
俺も形だけ笑みをこぼすと、また外に視線を向けた。
「嫌な事でもあったか」
ピクリ、と肩が震えた。
「今日は智司が外回りだろう。なら、相手は猛か？」
「…珍しいね、スケジュール知ってるの」
「さっきギンの奴がここに寄ったからな。おめぇさんが書類仕事を全部掻っ攫っちまったから、身体壊さねぇかって心配してたぜ」
「テツに死ぬほど心配してもらったから大丈夫だよ」
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…！糧すぎる！執筆の糧すぎるわ――！！（ﾄﾞﾝﾁｬﾝ騒）これはとことん付き合ってもらいましょう！えぇ！勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (
レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく読ませていただいてます！何回も読み直すくらい大好きな作品です！三週目終わった所です…笑これからも応援してます！ (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます！主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね！（それを表現できる文才があるかどうかは別として）。最後までどうぞよろしくお願いします！ (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています！！ (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒のコ屋 | 作成日時：2023年5月29日 18時
