カメレオン11【今日から俺は】

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「オメーが俺ら全員の罰を受けるのは違くねぇか？」

ほら、やっぱり余計なことまで言ってた。

「椋木先生からどこまで話を聞いたかは知らなけど、これは俺が学校とした取引だ。君らは関係ない」
「あンだろ。ふざけんな」

胸倉を掴む三橋。
後ろから焦ったように伊藤が止める。

「最後まで俺らはヤクザとカタギか？オメーはまた俺らを守って自分を犠牲にすんのかよ」
「………………」
「テメーに守られて気持ちいいもんなんてねーんだよ！！ヤクザ様がなんだ！！テメーは俺のダチだろうが！対等にやれや！守られる為に八島潰したわけじゃねーんだぞ！！」

俺は目を細める。

(あぁ…)

やっぱり君は変わらないんだな。




「三橋」




胸倉を掴んだ彼の手に、そっと自分の手を重ねる。

「ごめんな。君がこのやり方を知ればきっと怒るだろうと思って隠してた」
「………………」
「でも、別に無策で取引したわけじゃない。確かに俺は二度とここへ来ることはできないけど、この学校を卒業する資格はもう満たしてるんだ」

椋木先生や山口先生が、退学じゃなくて停学に下げてくれたおかげでね。

「なのに、ここで君たちを巻き込んで停学処分を受けたらどうなると思う？…進学を希望する他の不良や理子ちゃんたちは内申点で志望校を落とされてしまう」

A組の為に手を貸してくれた。
君たちには一切迷惑をかけないと約束した。

「フェアなだけが良いことばかりじゃない。悪役には悪役のやり方があるんだよ」

卒業まで君たちに会えないのは少し寂しい。
だけどこれは、そうしてまで価値のあることだと思う。

「オメー、ホントにそれでいいのかよ」
「………………」
「二度と俺らとバカやれねぇんだぞ」
「………………」




「卒業できりゃそれでよかったのかよ」





強めの語尾でそう言われた。




「それは違うよ、三橋」




俺はきっぱりそう否定した。

「君たちに会えたから、俺は覚悟ができたんだよ」
「覚悟…？」

伊藤が首をかしげる。
…そうだよな。何のことか分からないよな。

「“人の想いは風化する”。小さい頃、父にそう教えられて生きてきたんだ。俺らヤクザは嫌われ者だから、その身分がバレるとまともな扱いされないって…ずっとそう思ってた」
「………………」
「勿論、父はその言葉通りに生きて死んでいった。だから俺は、この言葉の呪いを解きたくて、カタギの学校に通うことにしたんだ」

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