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「先日は…ひでぇ態度を取っちまって…すいやせんでした!!」
ゴツッ!
申し訳ないと思う気持ちが大きいのは分かるが、正座したまま勢いよく頭を机にぶつけるなよ。
たんこぶできるぞ。
「何も知らねぇとはいえ、お嬢のことを信じてやせんでした」
「………………」
「部下に八島の組員が潜んでたのも気づかず…」
「………………」
「3代目もアルさんも…智司も猛も居ねぇA組で、俺やギンさんが一番にお嬢の味方にならなきゃいけねぇってのに…俺ァ自分の意見押し通して分断までさせちまって」
ぬるりと顔だけが上がった。
机に顎乗せたまま、ズビズビに涙と鼻水で汚れたおっさんの顔が上目遣いで俺を映す。
そのあまりにも酷い顔に、両側に座っていた智司と相良が顔を背けた。
「ずびばぜんでじだァ〜〜〜!!!」
「わかったわかった。わかったからまず顔拭け」
顔面がヤバすぎる。
ティッシュで顔を拭ってやりながらテツを落ち着かせて、彼の組織がA組にとってあまりにも大きかったこと、監督不届きはテツだけでなく下のまとめ役たちにも問題があることを伝えた。
「君がA組を大切に思ってくれているのは理解してるよ。…そもそも、俺はテツ派の人間の中にスパイが紛れ込んでるってわかってて喧嘩売ったからね」
君が俺の喧嘩を買ってくれてよかったんだよ。
あれで釣れなかったら、きっともっと過酷な条件の中で俺は八島組に臨まなければならなかった。
「黙ってて悪かった。大した怪我もなく八島組に勝ててよかったよ。君たちテツ派の人間が来てくれなきゃ、上手くはいかなかったからね」
俺の手紙を信じてくれてありがとう。
そう付け足せば、テツはまた涙をためて顔を伏せた。
うぐふぐ嗚咽をたらす彼の声に、流石にギンが呆れて頭を叩く。
「いつまでも泣いてんじゃねぇ」
「ぁい…ずびば…ぜん」
A組の分断が、俺にとって必要だったことに間違いはない。
だからこそ、今回の件は誰も謝らないでほしい。
「むしろ、俺から“ありがとう”と言いたいところだな」
大きな損害もなく大事な人を取り戻して、自分の力を組全体に示すことができたのは
間違いなく君たちのおかげなんだから。
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…!糧すぎる!執筆の糧すぎるわ――!!(ドンチャン騒)これはとことん付き合ってもらいましょう!えぇ!勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいてます!何回も読み直すくらい大好きな作品です!三週目終わった所です…笑これからも応援してます! (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね!(それを表現できる文才があるかどうかは別として)。最後までどうぞよろしくお願いします! (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています!! (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2023年5月29日 18時