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そんな過保護な一言を相良に貰ったところで、三人力を合わせて家事をこなす。
智司の掃除機がけがいつもより入念だった。

















お昼過ぎ。

コンコン

「叔父さん、入るよ」

受付を済ませた俺たちは、最上階にある個室のドアを開けた。
窓の外を見ていた叔父さんが俺たちの姿に気づいて振り返る。

「おう、ちぃた元気になったか」
「俺は平気だよ。叔父さんは?」
「痛み止めでなんとかもってるがよォ。…弾ァ抜いて数日であれは無茶しすぎたな」

だったら車椅子じゃなくてベッドで横になっててほしいんだけど…。

「しばらくは戻れねぇが、おめぇさんがいりゃ何とかなるだろう」

目を見開く。
それってつまり…。

「俺に組長代理しろっていうの?…つい先日皆に反対されたばかりだよ」
「不安ならもう一度集会開いて訊いてみりゃあいいじゃねぇか」
「また組が分裂する」
「馬鹿言え。あれだけの手腕見せて、誰が文句言うってんだ」

「ん?」と試すように俺を見る叔父さん。
まるでその結果が分かってるみたい。

なんとなく落ち着かなくて両側を見てみると、智司と相良まで俺をじっと見ている。
…な、なんなんだよ。

「おう、それとA」
「?」
「年末は大阪に墓参りだ。スケジュール調節しておいてくれるか」

年末って…あと一ヶ月もないんだけど。

「急だね」
「仕方ねぇだろう。今回は玖仁会に世話になっちまったんだ。顔見せに行くなら、ついでに墓参りも済ましちまう方がいい」
「………………」

墓参りか…。

「わかった」
「頼んだぞ。…あぁ、それと叔父貴に電話入れといてくれるか」
「ん」

短時間の面会が終わって、病院を出た。
車内電話から玖仁会に連絡を入れると、組員からすぐノブタカさんに変わって、あーだこーだと心配の言葉を連ねられた。
俺が苦笑いしながら受け答えするのを見ていた智司たちは、電話が終わるなりポツリと「悪かったな」「俺達の所為で」と言う。…またそれか。

「二人が謝ることないよ。そもそも八島組の情報教えたのはノブタカさんの方なんだから、あの人が焚き付けたようなもんだよ」
「そうなのか?」

励ましの手紙の中に、ちゃっかり八島組の資料を渡すよう看護婦さんにお小遣いを渡したノブタカさん。(正しくは部下の人だけど)
特に八島華に関しての資料が多かったのは、確実に俺への起爆材料にする為だろう。

「まぁ、やり方は違えど八島組に喧嘩売る気はあったけどね」

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - S!nsei_zaさん» そ、そんな何回も読んで頂けるなんて…!糧すぎる!執筆の糧すぎるわ――!!(ドンチャン騒)これはとことん付き合ってもらいましょう!えぇ!勝手に連れて行きますかお気になさらry…((殴 スミマセンふざけ過ぎました。笑 応援コメントありがとうございます〜^^ (7月27日 18時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
S!nsei_za(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいてます!何回も読み直すくらい大好きな作品です!三週目終わった所です…笑これからも応援してます! (7月23日 21時) (レス) id: 165fe81141 (このIDを非表示/違反報告)
黒のコ屋(プロフ) - 成瀬さん» コメントありがとうございます!主人公、ついにポロリと本音を出しちゃいました。もう本人の気持ちを知った元開久組に遠慮はありませんので、今後の絡みに乞うご期待ですね!(それを表現できる文才があるかどうかは別として)。最後までどうぞよろしくお願いします! (6月14日 17時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 個人的には書籍化して頂きたいくらいに大好きなお話なので、最後までついて行かせてください☺️これからもお身体にお気を付けて頑張って下さい。応援しています!! (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - 主人公がどれだけ二人のことを、組のみんなを大事に思っているか、想いを読むだけで泣きそうになりました。そして名シーン、『二度と人の男に手ェ出すな』というセリフ、本当にかっこよかったです。智司相良と同じく目見開いちゃいました笑 (6月13日 20時) (レス) id: 778f9ea582 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2023年5月29日 18時

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