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73話
すっかり綺麗に整った裏庭を縁側に座りながらボーッと眺める。
夕日のオレンジ色が少し眩しい。
「お嬢」
静かな足音に布の擦れる音。
振りかえると、ギンがすぐ傍に腰を下ろしていた。
「おかえり、ギン」
「只今戻りました」
「待ってたよ。話は聞いてくれた？」
「えぇ、電話に出られなくてすみません。部下から聞きました。…ご友人の事も」
俺を見つめるギンの表情はいつも通り。
けど、どこか俺への気遣いを感じる。
(大丈夫だって言っても、きっと信じてくれないんだろうな)
強がって生きてきたこの十年を覆すには、もっと時間が必要らしい。
(仕方ない)
苦笑いは心の中に伏せて、ポケットからバッジを取り出した。
「教えてほしい」
ギンの手のひらにバッジを落とす。
「これがどこの組のバッジか」
「………………」
夕日に照らされた八咫烏の絵に、ギンの顔が険しくなる。
それが意味するものは、きっと俺の考えていた通りで間違いないのだろう。
「これは…八島組のものですね」
脳裏に浮かんでいたあの男が、不気味な笑みを見せた気がした。
カメレオン
門前。
叔父さんたちを見送るために玄関に出ていた俺に、三橋たちの件を聞いた叔父さんとアルが心配そうに話しかけてきた。
「A、無理するんじゃあねぇぞ」
「心の整理がつくまでは、テツにしのぎを擦り付けても良いですからね」
彼らの中でも、まだ俺はあの時のままなんだろうか。
思わず苦笑いを溢す。
「本当に大丈夫だよ。ツライ時はちゃんと言うから」
「本当か？」
「本当ですか？」
「本当だって…」
いい加減俺のイメージをアップデートしてもらいたい。
今はもう智司たちがいるし、平気なフリをする利点も無い。
(そりゃ、自分の所為で三橋達が怪我したって分かった時は傷ついたけど…)
嘆いているより、これ以上被害が広がらないよう対策を練るのが先だ。
ふと横を見ると、智司と相良が小さな声で何かを話している。
「頼んだぞ」
「あぁ」
コツンと合わせた拳。
じっと見つめていると、視線に気がついた智司が俺の前にやってきた。
「なに拗ねてんだ」
優しい目つきで俺を覗き込む。
「拗ねてないよ」
「寂しい、ってこっち見てたじゃねぇか」
「何話してるのか気になっただけ」
寂しくはないぞ。
明日までに帰るんだろ？
「今日は遅くなるから、待たずに寝てろ」
額に軽くキスをされる。
「…、わかった」
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます！ろ、六週目ですと！？なんと素敵なんだぬんさん！とっても嬉しいです〜！最近ｼﾘｱｽばかりでｷｭﾝｷｭﾝ要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…！引き続き頑張りますね！ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (
レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます！！！！！ (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒のコ屋 | 作成日時：2022年11月2日 17時
