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「………………」
「………………」
「………………」
「三橋」
「ッ〜〜〜クソ!見たことねぇ制服着た女と、このバッジつけたゴリゴリ野郎どもだよ!」

ようやく吐いた。
俺は手元にあるバッジを見つめる。

(黒字に白の八咫烏)

“八”か。
嫌な予感がするな。

「身体は」
「大したことねぇよ」
「念の為にって一晩入院させられただけだ。夕方にゃ出れる」
「………………」

俺は目を瞑って心を落ち着かせると、彼らを見据えた。





「悪かった」





深く頭を下げる。
慌てて俺を止めようとした伊藤が怪我の痛みで悲鳴を上げた。

「馬鹿!A!!なんでオメーが謝んだよ!」
「君らに心当たりがないってことは、十中八九うちだ」

そう思ったからこそ、バッジを俺から隠したんだろ?
視線でそう伊藤に問うと、彼は分かりやすく黙り込んだ。

「あとはA組で対応する。君たちの手出しは不要だ。…病院代もこっちで払っておくから心配しないで」
「何言ってんだオメー」
「お、おい三橋…」
「あとは関わるなってか?俺ァやられた分はやり返すぜ!それがたとえヤクザでもな!」
「………………」
「とりあえずオメーんとこであのクソアマどもの情報先に探っとけ。こんな怪我数日で治してやる」

ヤクザと聞けばいち早く逃げる男が、そんな珍しい事言うなんて…。

(明日は雪が降るかな)

思わず俺はフッと笑みをこぼした。








「君がヤクザならなァ」








目を見開く二人。
俺はバッジをポケットに突っ込むと、そのまま背中を向けた。

「またお見舞いに来るよ。今度はメロンを持ってね」
「あ、おいA!」

伊藤が呼ぶのを無視して部屋を出る。
背中に突き刺さる三橋の視線は気づいていたけれど、ドアを閉めて無理やり断ち切った。















受付で話をつけて請求書をA家へ送るよう手配すると病院を出た。
裏門で待っていてくれた智司の車に乗り込むと、A家に向かって走り出す。

「どうだった」
「思ったよりか元気そうだったよ。怪我は酷いけどね」
「…八島組か?」
「かもしれない」

バッジを見せれば、アルかギンならわかるかもしれない。
帰ったら訊いてみよう。

「………………」
「A」
「…ん?」
「大丈夫か」

ルームミラー越しに視線が合う。
気落ちしてることがバレたのか。

(そんなに分かりやすかったかな)

安心させるように笑ってみせた。

「大丈夫」

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます!ろ、六週目ですと!?なんと素敵なんだぬんさん!とっても嬉しいです〜!最近シリアスばかりでキュンキュン要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…!引き続き頑張りますね!ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます!!!!! (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年11月2日 17時

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