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72話


白い外車の窓からこぼれる紫煙。
堂々と路上駐車されたその車に、強面の男が一人近づいてきた。

「賢介さん」

賢介と呼ばれた男は返事の代わりに視線を向ける。

「華子お嬢が軟高の二人に接触したようです」
「…相変わらず俺の言うことが聞けない妹だな」
「如何しましょう」
「加治木組に連絡をまわせ」

半分ほど灰になれ果てた煙草をガラスの灰皿に押し付けると、彼は最後の煙を吐き出した。

「俺の見立てが正しいなら、華に合うのはアイツらじゃない」

賢介の脳裏に浮かぶのは―――…



 カメレオン



「おい、サボんなよ」

良く晴れた空。
青々と茂った草の前でへばる男たちに、相良の厳しい視線が落ちる。

「けどよ相良さぁん!こんな広いなんて聞いてねぇッスよ俺ら!」
「“何でもする”つったよな?」
「い、言いましたけど…」
「言ったのはAに対してで相良さんに言ったんじゃ…「あ?」

珍しく言い返した不良生徒の顔に相良の足が乗る。

「いででででで!!!!!」

「…智司、目の前で公開パワハラが行われてるんだが…」
「開久じゃ日常だぜ」
(なるほど…。日常ね)

苦笑いが若干引き攣りながらも、仕方なく俺は相良にストップを言い渡した。

「は?甘ぇよ。1時間でまだコレだぜ」
「半分できたなら上出来だよ。煮詰まっても仕方ないんだ。少し休憩にしよう」
「「「「いやっほ―――!!!」」」」
「おい、甘やかすなって!」

持ってきた和菓子を生徒たちに振舞う。
俺に続いて智司がお茶と大量のコップをごっそり縁側に置いてくれた。

「怖い顔してないで、相良もおいで」

残った和菓子を手に取ると、縁側に腰掛けて彼を招く。
ものすごーく不満な顔をしながらも、ちゃんと隣に座ってくれた。

「11月も半ばだっていうのに今日は暖かいな」
「日差しがキツイ所為だろ」

独り言を律儀に返してくれた智司からお茶を受け取ると「ありがとう」と礼を言う。
お返しに持っていた和菓子を渡してやった。

「しかしお前も面白い女だな。開久の不良に草抜きさせるとはよ。流石のこいつらも、こんな使われ方するとは思ってなかったみたいだぜ」
「じゃあ一体どんな使われ方すると思ってたんだ」

しのぎか?
絶対させないぞ。

「まぁ、北根壊の一件で借りを作ったのは事実ッスからね」
「安心しろA。途中で投げ出したりしねぇよ」
「分かってる」

なんだかんだ言って君ら義理堅いからな。

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます!ろ、六週目ですと!?なんと素敵なんだぬんさん!とっても嬉しいです〜!最近シリアスばかりでキュンキュン要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…!引き続き頑張りますね!ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます!!!!! (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年11月2日 17時

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