70-6 ページ34
.
三橋が椋木先生の身体を引き離すと、突然バッと自分の髪を両手でつかみながら三橋に笑いかけ、良い笑顔で屋上を去って行った。
…多分、心底安心したんだろうなぁ。
「なんか俺、疲れた」
「椋木相手にすると…体力減るよな」
「そんな君たちに朗報だ、あと5分でHRが始まる」
「「全然朗報じゃねえ」」
どうせ机でも大して話聞いてないんだからいいだろ。
俺は一足先に教室へ戻ることにした。
* * *
Aを送り届けた後、俺はテキトーにサテンで時間を潰して、開久に向かった。
今や俺は完全な部外者だってのに、ここの先公たちは俺が校舎に入ってきたことに対して何も言わねぇ。
そういうとこ、相変わらずだな。
今年から入ってきた真面目学生がちらほら。
ほとんど関わり合いがなくても俺のことは知っているらしい。
耳打ちに忙しない学生たちを放って中庭に向かうと、懐かしい赤ソファに座る久保や小野たちが見えた。
俺の姿に気づいて、心底驚いた顔を向けやがる。
「さ、智司さん!?」
「おう」
「なんでここに!」
「もしかして戻って来てくれたんスか!?」
「悪ぃが、そうじゃねぇ」
あからさまに落ち込むコイツらに、思わず笑っちまった。
「軟高のAをヤクザもんが狙ってやがってな…。その関係でしばらく俺と相良が護衛につくことになった。諸事情でこの制服着て護衛するつもりだからよ…オメーらには迷惑かけねぇつもりだが、一応一言伝えておかなきゃと思ってな」
「そんなん全然ッスよ!!問題ないッス!」
「むしろ!また開久の制服に袖通してくれた姿見て感激しました」
泣くなよ二村…。
オメーほんと涙脆ィ奴だな。
「北根壊は?」
「あれから大人しいモンっすよ。柳は少年院、大嶽は病院送りで静かなもんです」
「ストラップの売上金は取り返したのか」
「はい。全校生徒…うちに通うガキどもにも返してやりました」
昔なら、巻き上げた金は全部銀龍会に持って行っちまってたからな…。
真面目なチビどもにも金を返すなんてこたぁなかったが、開久も変わったな。
「あの…!」
「あ?」
「智司さん、よかったらAの奴に口利きしてくれねぇっすか!?」
「口利き…?」
「俺、卒業したらA組に入ろうと思って!」
「俺も!」
「智司さんや相良さんの下に付きてぇんス!」
62人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます!ろ、六週目ですと!?なんと素敵なんだぬんさん!とっても嬉しいです〜!最近シリアスばかりでキュンキュン要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…!引き続き頑張りますね!ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます!!!!! (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年11月2日 17時