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「もしもし」
『…おう』

この声。
やっぱり伊藤だ。

「うちに電話くれたんだろ。悪かったな、今しのぎが終わったところで」
『あぁ、俺もタイミング悪かった』

そしてしばしの沈黙。

『…なぁ、A』
「ん?」
『明日、北根壊とやるんだろ』

三橋か理子ちゃん辺りから情報を貰ったのか。
俺は素直に「そうだよ」と答えた。

『俺も連れてってくれねーか』
「………それは…リベンジマッチか?」

大嶽に負けた伊藤。
俺が見たのは、魂抜けたみたいなへっぽこの伊藤が最後で…。
彼があれからどんな風に考えを改めて、立ち直ったのかは知らない。

『あぁ、リベンジマッチだ』
「また負けるかもしれないぞ」
『………………』
「………………」

知らないけど





『次は勝つよ』





自信に満ちた強い言葉。


「………………」


気づけば、ふと笑みを溢していた。

伊藤、完全復活だな。

「明日10時、うちが持ってる津谷第一工場って跡地に奴らを呼び出す」
『………………』
「君も場所は知らないだろうから、A家に来てくれ。開久の連中も一緒だが、問題ないだろ?」
『全然問題ねぇよ』

そうこなくっちゃな。
その後、2、3言話して電話を切る。
智司がタイミングを計って声をかけてきた。

「伊藤がリベンジマッチってどういうことだ」
「俺が怪我をした同日に、別の場所でもう一人のゴリラ番長にやられたんだよ」
「…アイツが?」

俄かに信じがたいのだろう。
ミラー越しに、智司のしかめっ面が見えた。

「大丈夫。次は勝つってさ」

そう言えば、今度は驚いた顔で俺を見つめてくる。
少し間を開けて、わざとらしいため息が聞こえた。

「…アイツらの乱入癖はなんとかならねーのかよ」

東京ボーイズの時のことを言っているのだろうか。
そういえばあの時も三橋と伊藤が横から掻っ攫っていったな。

「無理だね。君が開久を辞めて相良がうちに喧嘩売ってきた時も、軟高の不良たちが途中で乱入してきた。あのやり方は完全に受け継がれてる」
「…そーかよ」

きっと今回もそうなるのだろう。
開久が名乗り出て喧嘩する場に、伊藤が来る。
伊藤が来るということは、他の不良たちも黙っちゃいない。

「明日が楽しみだな」

足を組んで、窓枠に頬杖をつきながら、夜風に髪を揺らす。
その後にやってくる智司の小言は、右から左に流しておこう。





  * * *

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作品ジャンル:恋愛
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます!ろ、六週目ですと!?なんと素敵なんだぬんさん!とっても嬉しいです〜!最近シリアスばかりでキュンキュン要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…!引き続き頑張りますね!ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます!!!!! (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年11月2日 17時

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