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「あっそ。でもうちのAさんには勝てなかったそうじゃないですか。しっぽ巻いて逃げたって聞いたぜ」
「ほざいてんじゃねぇ!!」
柳がナイフを投げた。
三橋の目が鋭くなり、ラケットを持つ手が素早く動く。
―――――カツッ!
卓球ラケットに、ナイフが刺さった。
「なん、だと…?」
「竹ぼうきじゃ当て損なったけどな。俺が本気出せばこんなもんよ」
「まぐれだろ!!」
柳はさらに上着裏から4本のナイフを取り出すと、三橋に向かって勢いよく投げる。
―――カ、カ、カ、カ!!!
今度もナイフはすべてラケットに収まった。
(あの男、どんな反射神経してるんだ…)
そのうち銃弾も避けるんじゃないか。
そうなったらA組と敵対した時厄介だな…と思いながら、信じられない様子の柳が懲りもせず更にナイフを取り出し構える姿に呆れる。
「そんなバカな…そんなわきゃねぇ!」
そう言って投げた瞬間、三橋もラケットの持った手を大きく振りかぶった。
「おらぁ!!!」
「ひぃ!!」
ナイフが打ち返され、柳のスレスレを飛んでいく。
彼が固まっている間に、三橋はラケットを捨てて駆け出した。
「うおおおおおお―――――怒りの鉄拳!!!」
ドカ――――――ン!
凄まじい右ストレートがさく裂し、廃材置き場にぶっ飛んでいく。
ゴロゴロガッシャン!!と割とえげつない音が響いた。
顔を引きつらせてよーく覗いてみると、砂ぼこりの中で柳は目を開けたまま失神している。
「俺の仲間に手ぇ出すんじゃねえ!!!」
ピクリとも動かない柳に向かって三橋がそう叫ぶと、俺は小さな声で「こわっ」と漏らした。
すると彼は振り返り、俺に人差し指を差す。
「そりゃオメーだよ!よくあんなナイフ野郎に素手で突っ込んでったな。バケモンか!」
「素手じゃないよ。メリケンは着けてた」
「メリケンでどうにかなるかバカタレ!サクッって刺されたらお終めーだぞ!!」
「2、3回刺されたぐらいで死なないだろ」
「なわけあるか!!死ぬわ!」
そんなくだらないやり取りをしていると、相良が肩で息をしながら三橋を睨みつけた。
「三橋テメェ…いいとこだけ持っていきやがって」
「ハン、オメーが苦戦してっから助けてやっただけだろ」
「はぁ!?助けてくれなんぞ頼んでねぇわ!」
「おいA、オメーんトコの番犬すげぇ吠えて来るんだけど俺に。ちゃんとしつけしろ、しつけ」
「ブッ殺すぞテメェ!」
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黒のコ屋(プロフ) - ぬんさん» ご感想ありがとうございます!ろ、六週目ですと!?なんと素敵なんだぬんさん!とっても嬉しいです〜!最近シリアスばかりでキュンキュン要素が不足しておりますが、需要があれば番外編とかでたくさん作りたい…!引き続き頑張りますね!ありがとうございました^^ (2023年1月19日 11時) (レス) id: ec11750d33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 神作品をありがとうございます……(;´༎ຶٹ༎ຶ`)現在六週目です。相良くんと片桐くんにキュンキュンしながら見てます(ง ◜௰◝ )ว応援してます!!!!! (2023年1月17日 7時) (レス) @page45 id: 06c201b8c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒のコ屋 | 作成日時:2022年11月2日 17時