また、次の人生で。

episode1 ページ3

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Aside



朝。

今日は、帰ってきたら作り置きを作っておかないと。
…あ、ちゃんと食べてくれてる、

毎朝、ほぼ朝の時間に帰ってきたお母さんの食器を洗って、

今日は帰ってきたんだ、とか。
一人で帰ってきたんだ、とか。

私には必要のない情報を
流しの中に置いてある食器やら何やらで取り入れる。

…お母さん、の正解の形なんて、私にはわからない。


気づいたらご飯は自分で作ってて、
悪いことをした自覚はないけれど、
何かしらの理由をつけて暴力振るわれて。


きっと、私の存在が鬱陶しくて、嫌いで、しょうがないんだろうけれど。


いつからか始まった暴力にも慣れた。

慣れというのは怖いもので、
最近は痛みを感じないし、何とも思わない。


ちなみに私は一人っ子で、親は母だけ。
父はアルコール中毒で死んだ。


外に出れば、母の顔つきが変わる。

「良いお母さんね」
「優しくて良かったわね」

外に出れば良い母親に見えるようで、
近所の人からはよく言われたこの言葉。


でも家の中ではお酒を飲んで、
酔ってまた暴力。

これじゃお父さんと一緒だよ。

ご飯は私が作るけど、
まずかったらお皿ごと私に飛んでくる。


きっとこっちが母の本当の姿。

私の記憶の中に、優しい母の姿などない。

こんなに間近に裏表がある人を見てるから、
誰も信じられない。


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