知ってること、知らないこと ページ36
＊
鬼殺隊の仲間たちの話をして
鬼を殺す日々の中にあった、心温まる些細な幸せの話をして
俺たちの間にあったのは心地よい沈黙だった
「あの人のこと……嫌いにならないであげてね」
そんな時、そう切り出したのは母の方だった
あの人……そう言われて脳裏に浮かぶのは
生憎……1人しかいなかった
『わかってる』
今世の15の俺ならともかく
前世の精神が早熟していた俺は、実子こそいなかったものの
それなりの人数を継子までとは行かずとも、稽古の手助け程度に
厳しく指導してきた
それはひとえに、その者に死んで欲しくなかったが故
父の指導が苛烈を極めたのは、
その側面もあったのではないだろうか……
まぁ、最高傑作云々は本気で言っているのだろうが
「覚えてないのは本当なのよ……
でもね、思い返せばときどき前世を彷彿とさせるような
行動を取っていたりするのよ
貴方が初めてあの人を"お父さん"って呼んだ時の表情は
前の貴方がそう呼んでくれた時とまるで同じだったわ
あれでも最初は、純粋に、私たちを守るって思いもあったの」
『そうだったのか……』
母が家にいた頃の俺は
周りに目を向ける余裕なんてなかったから……
"父さん"は、"親父"の中に居るのか
『そう、だったのか……』
俺に向けられていた視線は
サイドテーブルに置かれた花瓶にささった花に移る
「昔、1度だけ言ったことがあるのよ……
"この花が好き"って……あの人に……」
『…………』
「そろそろ、顔を見せてくれてもいいと思わない？」
『もう怖くないのか……？親父のこと』
「思い出して……気持ちの整理をつけたら
なんか吹っ切れちゃったわ」
晴れやかなその表情に、俺は目を伏せる
『……強いな、母さんは』
そう言うと母は微笑んで言った
「あの人の妻だもの」
あの頃とは似ても似つかない、幸せそうな穏やかな表情だった
またいつか、家族みんなで
何気ない話を藹藹と語り合える日々が訪れることを願って
終わり
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雨色の水滴 - 轟君……いつか毒味で死にそうで怖いﾌﾞﾙﾌﾞﾙ (2021年7月30日 20時) (
レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - shiochan410さん» 予定は未定なんで、保険ですね。疲れ目ですかね？自分も最近目が霞んで……ブルーライトカットの眼鏡が欲しい今日この頃です。 (2021年7月12日 19時) (レス) id: 78ebe2ba19 (このIDを非表示/違反報告)
shiochan410 - ゆぎさん» ()の中を見るまでは「しのぶ様〜！！！」と思いました。(ToT）・・・ごめんなさい。実体験を実験体と読んでました。お恥ずかしい。 (2021年7月12日 7時) (レス) id: 424c39c5df (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - shiochan410さん» そこは医師であり毒のプロのしのぶちゃんがいますからね！死角はありませんよ!!あくまで鬼と手を組んだ人間がいないとは断定できないが故の用心っていう設定ですから、毒は出ないでしょう。(現段階の予定では…) (2021年7月11日 17時) (レス) id: 78ebe2ba19 (このIDを非表示/違反報告)
shiochan410 - 実験体・・・。よくわからんけどすごいっすね。つか、轟君、毒見で死にかけたりとかしたことないですよね！！心配！！！('Д') (2021年7月11日 17時) (レス) id: 424c39c5df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆぎ | 作成日時：2020年6月15日 14時
