いつかのあの出立 ページ30
＊
千寿郎が産まれて約1ヶ月＿＿＿…
大晦日から11日目＿＿＿…
俺の誕生日だ
轟夫妻に拾って貰った日
轟焦凍が生まれた日だ
本当の誕生日は知らない
年齢がわかるのは 姉が毎年 鐘の鳴る夜が明けると
"今年は4歳になる年だよ"と教えてくれていたからだ
姉は年越を1つの区切りとして俺の歳を数えていた
今日の夕餉は蕎麦だ
俺の好きな食べ物
両親と饂飩屋に行ったのに
俺だけ蕎麦を食べるくらいには好きだ
三食蕎麦でも俺は飽きねぇと思う
ズルズルと蕎麦を啜る音だけが響いた
食事中に"うまいうまい"と言いながら…
時に"わっしょい"と叫ぶ弟は 何故か蕎麦だけは静かに食べる
何故だろう… (貴方の影響です)
かき揚げはさつま芋なのに
何故だろう… (貴方の影響です)
夕餉を食べ終わり 食卓も片付いた
杏寿郎は湯浴みに行っていて此処にはいない
話すなら今しかないだろう
『師範…瑠火さん……
俺 次の最終選別に行こうと思っています』
2人の表情は変わらなかった
もしかしたら この2人にはお見通しだったのかもしれない
「…千寿郎か」
其処までバレていたか…
『千寿郎が産まれて…
俺の妹になるはずだった赤子を思い出しました』
母を埋葬する際 お腹から赤子の亡骸が転げ落ちた
顔立ちが両親によく似た女の子だった…
『今度こそ…絶対守るって決めたんです
千寿郎も 杏寿郎も…！』
「…実はな 千寿郎が産まれたら
焦凍は最終選別に行くと言い出すだろうなと
2人で話していたんだ
その時は行かせてやろうとも…」
『じゃあ…』
「ただし 条件がある」
槇寿郎さんはいつにも増して真剣な顔をしていた
「必ず…生きて帰ってきなさい」
『ｯ！はい‼』
時は流れ 最終選別＿＿＿…
誕生日に瑠火さんから贈られた髪紐で結い上げられた
紅白色の髪が風に揺れた
「頑張って来い」
「お蕎麦…用意して待ってますから」
「兄上！ちゃんと帰ってきて下さいね‼」
一家総出の見送りだ
千寿郎は瑠火さんの腕の中で眠っている
此れから命をかけた最終選別に行くというのになんだかむず痒い
『わかった…ちゃんと帰って来る』
「絶対ですよ‼」
『あぁ 絶対だ』
杏寿郎と指切りをした
『行って来る…杏寿郎 千寿郎』
「お気をつけて‼」
『行って参ります……
「「行ってらっしゃい」」
振り返りざまに見た
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ゆぎ(プロフ) - 雨色の水滴さん» ありがとうございます！頑張って考えた甲斐がありました。他の話も書いてるので是非！これからも応援よろしくお願いします!! (2021年6月9日 2時) (
レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 轟君かっこよすぎー！！後、技名のセンスが凄いです尊敬します。（真顔） (2021年6月8日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» いや…ちゃんと見たらアレで良いんでした…水の呼吸の横水車的なくくりです。 (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» あ"！ホントだ…ありがとうございます！気づかなかった… (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
とこよ - 陸ノ舞の後にある、銀世界・告鳥って〇ノ舞とかつかないんですか？ (2021年4月18日 9時) (レス) id: 1a67d02ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆぎ | 作成日時：2020年5月27日 14時
