いつかのあの生命 ページ29
＊
＿＿炎の呼吸 伍の型 炎虎
「……ま 参りました」
杏寿郎の首元に突きつけた木刀を逸らした
俺が煉獄家に身をおいて早11ヶ月
炎の呼吸を習得し 常中も出来るようになった
俺が鍛錬を重ねている間に瑠火さんが身篭った
臨月を迎え いつ産まれてもおかしくない状態だ
嫌が応にもあの日のことを思い出す
槇寿郎さんも其れは察しているようだった
「腕を上げたな 焦凍…」
『ありがとうございます…師範』
「次こそは勝ちますよ！兄上‼」
『あぁ 楽しみだ』
俺の炎の呼吸の足運びは母に習った武舞が基になっている
他の炎の呼吸の使い手とは技の癖が違うらしい
そのせいか 杏寿郎も俺に負けることが増えた
しかし 俺に炎の呼吸の適性がないのは
俺自身よく分かっていた
武舞の足運びで補ってはいるが
槇寿郎さんや杏寿郎のような勇ましさはまるでない
そもそも…刀を両手で握ることに慣れない
武舞は両の手に別々の武器を持つことが多いからだ
両手持ちなら薙刀が得意だ
世間では薙刀は女性の武器と思われがちだが
大昔には戦で男が使っていたものらしい
持ち運びが面倒だけどな…
廃刀令が出ている今 持ち運ぶのには向かないだろう
そんなことを考えていると道場に隠が駆け込んできた
瑠火さんの陣痛が始まったらしい
道場を飛び出して瑠火さんのいる部屋の前に集まった
中から呻き声が聴こえるものだから
杏寿郎は俺にしがみついている
槇寿郎さんも落ち着きがない
俺も内心落ち着かないが
表情や行動に反映されることはなかった
其れに 1人くらい落ち着いている(ように見える)
人間がいても良いだろう
長いような短いような時間が過ぎ 小さな産声が上がった
産婆が部屋から出てきて"元気な男の子"だと告げた
『行っておいで…杏寿郎』
「はい‼」
瑠火さんのもとに行きたくてうずうずしていた
杏寿郎の背中を押すと一目散に駆けて行った
「お前は行かないのか…」
『………』
「…血は繋がっていなくとも お前は煉獄家の長男だ
甘えたっていいし 我が儘を言ったっていい…
其れは瑠火も思っていることだ」
槇寿郎さんは俺の頭を撫でた
「心の整理がついたらでいい…
いつか…父と呼んでくれたら嬉しい」
そう言って俺の手を引いた
「貴方たちの弟ですよ…焦凍 杏寿郎」
赤子は杏寿郎から俺の手に渡った
頬はもちもちしていて 手は紅葉のようだった
『ちゃんと守る…次こそは…』
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ゆぎ(プロフ) - 雨色の水滴さん» ありがとうございます！頑張って考えた甲斐がありました。他の話も書いてるので是非！これからも応援よろしくお願いします!! (2021年6月9日 2時) (
レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 轟君かっこよすぎー！！後、技名のセンスが凄いです尊敬します。（真顔） (2021年6月8日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» いや…ちゃんと見たらアレで良いんでした…水の呼吸の横水車的なくくりです。 (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆぎ(プロフ) - とこよさん» あ"！ホントだ…ありがとうございます！気づかなかった… (2021年4月18日 23時) (レス) id: 0bf1aaca6b (このIDを非表示/違反報告)
とこよ - 陸ノ舞の後にある、銀世界・告鳥って〇ノ舞とかつかないんですか？ (2021年4月18日 9時) (レス) id: 1a67d02ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆぎ | 作成日時：2020年5月27日 14時
